No.66 介護の歴史を振り返る
介護の歴史を振り返ると、高齢者福祉制度がどのように変わってきたかが分かります。2000年に始まった「介護保険制度」が誕生した背景には、介護の歴史が深く関わってきます。今回は、介護の歴史を紹介したいと思います。
介護保険法が施行されるまでの歴史と経緯
- 1961年 静岡県浜松市に養老施設・わが国初の特別養護老人ホームの先駆けとして創設されました。
- 1962年 訪問介護・ホームヘルプサービスが創設されました。
- 1963年 老人福祉法が制定され老人福祉政策が始まりました。
- 1973年 老人一律無料化になりました。
- 1978年 短期入所生活介護・ショートステイが創設されました。
- 1979年 通所介護・デイサービスが創設されました。
- 1980年 老人保健法が制定されました。
- 1987年 老人保健法が改正され老人保健施設が創設されました。
- 1987年 社会福祉士法及び介護福祉士法が制定されました。
- 1989年 老人保健福祉推進10ヵ年戦略ゴールドプラン
- 1994年 新ゴールドプランに変更
- 1997年 介護保険法成立しました。
- 2000年 介護保険法施行されました。
ゴールドプラン
当時の厚生省・大蔵省・自治省の三省で策定されたもので、高齢者保健福祉推進10ヵ年戦略計画で、1999年度末として政府の予算は9兆円が投じられました。きたる、高齢化社会に備えて計画され以下の三本の柱を掲げました。
①市町村の在宅福祉対策の緊急実施を行う。
②特別養護老人ホーム・老人保健施設・デイサービス・ショートステイ・ケアハウスなどの施設整備を緊急に行う。
③在宅福祉推進のためのホームヘルパー養成・在宅における寝たきり予防・地域での機能訓練やリハビリの実施、在宅介護支援センターにおいて保健師や看護師を配置する。
新ゴールドプラン
ゴールドプランを実施して当初の計画では10年後の見直しを想定していたが、予想に反して高齢化が進行したため、新たな計画施策が前倒しに1994年新ゴールドプランに変更になりました。新ゴールドプランでは、利用者本位・自立支援・普遍主義・総合的サービスの提供・地域主義の柱を掲げて、明るく活力のある高齢社会を実現目的に制定されました。
ゴールドプラン21
ゴールドプラン21の施策の目的は、介護サービス基盤の整備・在宅サービスや施設サービスの整備の促進や高齢者が尊厳を持って穏やかに暮らし、その家族も安心して相談や支援を受けることが出来るように、認知症高齢者の支援対策の促進を図り、また地域全体が支えあう地域生活支援体制の整備を促進することが主な柱として制定されました。
介護保険法の施行
「介護保険」は2000(平成12)年に誕生した健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険に次ぐ社会保険です。これまでの施設入所や介護サービスを、行政機関である市区町村が決定していた措置制度から、介護保険被保険者が自ら決めることが出来る契約制度へと変わりました。
介護保険目的と趣旨
介護保険が出来た背景には、日本の高齢化の進行に伴い社会保障費の増加を国民(支払い義務は40歳から)が負担する目的で創設されました。加齢に伴い、介護が必要になった場合、その人が尊厳を持って自立した日常生活が出来るように適切なサービスが受けられるように、「介護保険法」が創設されました。
- ■まとめ
-
介護の歴史を紐解くと、これまでの介護の歩んだ道や高齢者問題に対して、国がいろいろな施策を講じてきたことが分かります。介護現場の現状や課題も、年々複雑多様化しています。今後も深刻化していく介護問題に、スピード感のある効果的な対応が望まれることでしょう。