No.49 介護で行われる寝返り介助の重要性
健康な人は、一晩寝ている間に20回から30回の寝返りをうつといわれています。では、寝たきりになって、自力で寝返りがうてなくなるとどうなるのでしょうか?
今回は、寝返りがうてないことでおきる弊害について考察してみましょう。
なぜ、人は寝返りをうつのか?
寝返りは、本来血行を良くするための人間の自然な行為です。
例えば、同じ姿勢であぐらをかいて座っていたりすると、全体重が足にかかっているため、しびれて、姿勢を変えますよね。それと同じで、寝ているときも同じ姿勢をとりつづけていると体重がかかっている体の部分がしびれて、無意識に寝返りをうっているのです。
寝返りを打たないことで起きる体への弊害
高齢者の場合、寝たきり状態だと自力で寝がえりがうてないことで起きる弊害として、床ずれがあります。床ずれになる原因は、寝ている場合や車椅子などに座っている場合、長時間、同じ姿勢のままでいることで、血液の循環障害(血流が悪くなること)となり体重がかかる体の部位に発赤(ほっせき・皮膚が赤くなり炎症をおこす)などができることです。
床ずれが発症しやすい場所は、特に骨の突起部にできやすく、仙骨部や尾てい骨などのお尻のほか、かかと・くるぶし・肩甲骨などが床ずれになることもあります。
これらの床ずれは、高齢者に限ったことではなく若い方でも病気や事故でのけがなどが原因で、寝たきりになっても起こりうることです。
床ずれにならないための予防法とは?
【予防1】床ずれの早期発見
初期段階では、床ずれになる部位の皮膚が赤くなってきますので、よく観察することが重要となります。その部位に対して、マッサージなどの刺激を与えることは、かえって床ずれの進行を悪化させますので注意が必要です。
【予防2】定期的な体位変換
床ずれ予防には、体位変換が必要不可欠です。2時間から3時間おきに行うことが一般的に推奨されています。
【予防3】体位分散
もしも床ずれがひどくなったり、悪化が予想される場合には、体位分散マットやエアマット・クッションなどの利用も検討しましょう。なおエアマットなどは福祉用具貸与として、介護保険の対象でレンタルが可能です。
- ■まとめ
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今回は寝返りの重要性について考察してきました。寝たきりなどで寝返りがうてない高齢者の場合、在宅や施設での介護をする際には、オムツ交換や着替えの介助をする時に、特に床ずれができやすい場所を良く観察することが大切です。早期発見、早めの予防が重要となってきます。