No.40 介護職員不足を考える
人手不足が続いている介護業界ですが、介護福祉士をはじめ、看護師・理学療法士などの専門職も人手不足が深刻化している現状です。今回は、介護福祉士の人手不足について、現状とその対策について考察していきましょう。
高齢化の現状と2025年問題
日本は、高齢化に歯止めがかからず、2007年には超高齢化(日本の全人口に占める65歳以上の割合が21%を超える)を迎えました。これは、世界でも類をみないハイスピードで、高齢化から超高齢化になりました。
2025年には、団塊の世代が75歳を迎え、65歳の高齢者を含めた高齢化率が38%になることが予想されています。高齢化に伴い、認知症患者や寝たきり高齢者も問題になっています。こうした状況を受けて、介護福祉士も、特に大都市を中心に38万人もの人手不足が予測されています。
潜在介護福祉士の問題
2018年現在の厚生労働省の推計では、介護福祉士の全登録数約156000の内、実際に介護職として働いている介護福祉士は全体の6割であり、後の4割は介護の仕事に就いていません。これを「潜在介護福祉士」と呼びます。
その他にも、介護福祉士以外の資格を持っている方や無資格者を入れた総人数は、たくさんいると考えられます。例えば、介護者初任者研修者・介護者実務者研修者受講保有者などです。
国の人材確保のための対策
【介護現場への復職支援】
潜在介護士などの復職支援として、1年以上介護職員として介護事業所で働いたことがあり、いったん介護の仕事を離職した人が復職する場合には、「再就職準備金」の対象となります。
◎再就職準備金をもらうための条件
金額は20万円で、就職して2年未満で辞めた場合は返済義務がありますが、勤続2年以上だと返済義務が免除されます。
尚、貸付金は1回であり貸付金は20万円ですが、特別に人材確保が難しい地域に限って、40万円の貸付をすることができます。
※金額等に関しては各自治体で異なりますので自分が住んでいる自治体に確認しましょう。
◎介護の現場への外国人の受け入れ
これまでも外国人技能実習制度はあったのですが、2019年4月から入管法を改正して、これまでの3年から5年に「特定技能在留資格」として延長されました。
詳細は、下記のURLを参考にしてください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_000117702.html
◎処遇改善費の上乗せ
2019年10月に、実務経験が10年以上ある優秀なリーダー的な役割をしている介護福祉士に、月額8万円の給料の上乗せをする処遇改善費が上乗せされることになりました。
- ■まとめ
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国はこれまでに、介護職員不足に対して人材確保のための政策として、処遇改善費の増額・復職支援・外国人の特定技能在留資格などの政策など、いろいろな施策を講じてきました。
しかし、それでも人材不足を解消するに至っていません。新たな対策が今後も必要となってくるでしょう。