No.37 介護報酬改定4つの柱~そもそも介護報酬とは何か~
介護保険の仕組みは、利用者が介護サービスを受けた場合に、その提供されたサービスに対して基本的に1割負担でしたが、2018年には3割負担へと変更になりました。
今回は、2018年第7期の改正で介護報酬の費用負担割合の違い・条件はどのように変わったのか、そもそも介護報酬とは何なのか見ていきましょう。
そもそも介護報酬とは?
そもそも介護報酬とは、事業者が要介護者(要支援者)などの利用者にさまざまな介護サービスを提供した場合に、その対価として事業者に支払われる報酬のことをいいます。原則として利用者の負担は1~3割となっており、残りの7~9割は介護報酬の介護保険から支払われます。
厚生労働省が定める基準により、算定されている介護報酬は利用者の状況や事業者のサービス提供体制に応じ、加算・減算される仕組みになっています。
- ◎加算と減算の仕組み
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基本報酬以外に行ったサービスを請求することができますが、請求したにも関わらず実際には、サービス提供が行われていない場合(過誤請求)は、減算されますので注意しましょう。
例えば、
- サービス提供加算
- 口腔機能向上加算
- 栄養改善加算
- 医療連携加算
- 運動機能向上加算
- ターミナル加算
などがあります。
介護報酬の単位
介護報酬の単位では1単位=10円で計算されます。例えば、要介護1の限度額で計算してみると下記のようになりますので、参考にしてください。
・要介護1の単位=166.692単位=「おおよそ16.666円」
介護報酬改定4つの柱
2018年の改定では、団塊の世代が75歳以上となる2025年に向け、適切なサービスを国民が受けられるように下記の4つの柱の改定が行われています。
- 自立支援と重度化防止
リハビリテーションを強化し、リハビリテーションマネジメントに関する加算を設けています。 - 介護サービスの適正化
介護保険制度の安定・継続性の確保のために、介護サービスの適正化・重点化を図ります。 - 地域包括ケアシステムの推進
どこにいても適切な医療・介護サービスが受けられるように推進していく方針のこと=「地域包括ケアシステム」をいいます。 - 多様な人材の確保と生産性の向上
介護全体の効率化(介護ロボットの活用など)を図ろうという取り組みです。
自己負担割合の改定
介護保険の利用者は年々増えている=介護費用も当然増えています。そこで、今回の改定で見直されたのが利用者の自己負担額となります。
これまで1割の自己負担(一定以上の所得がある人は2割)ですんでいたのが、2018年8月からは自己負担の割合が3割となっています。(65歳以上の方で現役並みの所得がある人)
具体的な費用負担割合の違い・条件については下記を参考にしてください。
- 1割負担(条件:年金収入とその他の合計所得金額の合計額が単身世帯で280万円未満、2人以上の世帯で346万円未満)
- 2割負担(条件:年金収入とその他の合計所得金額の合計額が単身世帯で280万円以上、2人以上の世帯で346万円以上)
- 3割負担(条件:65歳以上の方で合計所得金額が220万円以上の方、かつ世帯の65歳以上の方の「年金収入とその他の合計所得金額の合計が単身で340万円以上、2人以上の世帯で463万円以上」)
- ■まとめ
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介護保険改正については、介護報酬改定率0.54微増しましたが、新設された加算をみると、要介護者を増加させないためのリハビリテーション強化を、重点的に行うような介護報酬改定の内容になっていることがわかります。