No.33 家族介護で知っておきたい認知症の進行段階
高齢者が増加して、それと比例して認知症になる高齢者も増えています。厚生労働省の予測では、2012年には軽度認知症も含めると462万人であったが、2025年には約700万人時代が到来するだろうとの推計です。
今回は、認知症の段階的な症状について解説していきましょう。
認知症について
認知症で一番多いのがアルツハイマー型ですが、すべての認知症の約55%と半数を占めています。また認知症は、大まかに分けて初期段階と中期段階・後期段階に分けることができます。その中でも認知症の症状には、中核症状と行動・心理症状を呈するBPSD(徘徊その他の症状)に分けられます。
中核症状とは
脳の神経細胞が壊れてしまい、阻害されて直接おこる症状です。
- 記憶障害
- 見当識障害
- 判断力低下
- 理解力の低下
- 失行・失認
BPSDの症状とは
- 徘徊
- うつ状態
- 不安や幻覚・妄想
- 興奮
- 暴力行為
- 意欲低下
- 怒りっぽくなる
認知症の進行段階
◎初期段階
- 繰り返し同じ話をしたり、また数分後、同じこと言う。
- 直前の出来事や行動の記憶がなくなり数分前のことを忘れる。
- 物取られ妄想が多くなる。家族などの身内を疑うことが多い。
- これまで好きだった趣味などに、興味が無くなり無関心になる。
- 物忘れや何をしていいか分からないために、それを取り繕うとして作り話をする(作話)。
- 時々、抑うつ症状と同じ症状がでることがある。
初期段階では、主に記憶障害が進行してくることが多く、家族などがよく観察しないと分からないことが多い。特に、「時間」「季節」「場所」「人」が分からなくなる、軽度の見当識障害の症状が出てきます。認知症を早期発見するためにも、大事な時期と言えるでしょう。
◎中期段階
- 見当識障害がひどくなる傾向にあります。
- 目的もなく歩いて、帰る家が分からない徘徊、また夜間に出ることが多い妄想など。
- 家事などの仕方が分からなかったり、買い物や料理ができなくなる。
- 不潔行為がある(失禁やろう便行為)
- 日常生活に支障をきたし、介助が必要となる。
身体的には、元気で心理的な問題からくる徘徊や不潔行為が出てくることで、認知症の介護で一番大変な時期(段階)と言えるでしょう。
◎後期段階
- 寝たきりの状態になる。
- 家族を理解できなくなる。
- 失語症になる、会話ができなくなる(意思の疎通ができなくなる)。
- 表情が無くなり反応が乏しくなる。
- 意思の疎通ができないため、便意や尿意を訴えられず失禁が日常化する。
後期になると、ほとんど寝たきりの状態になることが多く、また家族の顔や名前などが理解できなくなるので家族にとっては、とてもショックなことだと思います。表情や発語・反応が乏しくなるということが大きな特徴です。
- ■まとめ
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いかがでしたか、認知症が進行していく段階についてみてきましたが、まだ認知症は完治することが確立していませんが、進行を緩やかにすることは可能です。周りの家族も初期の段階で、よく観察して初期症状に気付き早めの対応をすることが大切です。