No.31 介護のプライバシー配慮について考えよう
毎日の介助で行われている排泄介助や入浴介助などですが、施設によっては、プライバシーの配慮が足りないと感じる場面が多々見られます。
それは、私が行政職で「介護相談員」という仕事をして感じたことです。「介護相談員」の業務内容は、シンプルにいえば各施設を回って利用者の「現在、困っていること」や悩み事などの相談にのることでした。
職員の利用者への対応などを観察して、私が感じたことなどを施設側に話をして改善策を提案したりする、「利用者と施設側の架け橋をする仕事内容」でした。今回は、その仕事を通して経験した介護のプライバシー配慮の事例を書いてみたいと思います。
介護現場で多いのが排泄介助時のプライバシー配慮の不足
- トイレの便器に座っている姿がトイレの外から見える状態で、また介助のときに「〇〇さんパンツを下ろしますね」などといって、周りに聞こえるくらいに大きな声で声掛けをしている方がいたことです。
- 居室内のポータブルトイレなどで、排泄介助が必要な利用者の場合、カーテンなどを閉めずに周りから見られる状態で便座に座っていることがありました。
- 排泄後、トイレから出てくるときにズボンがちゃんと上がっていなかったり、上着がズボンの中に入り込んでいたりと、着衣の乱れが多くありました。
- 寝たきりの方でベッドでのオムツ交換を行うときに、特養などの多少部屋(2~4人部屋)で、特に窓際のベッドで多くあったのが、カーテンを入り口側だけ半分閉めて介助を行っていることがありました。
入浴介助でのプライバシー配慮の不足
- 入浴介助で特に寝たきりの方を入浴場に誘導する際、主にストレッチャーに乗せます。この際に一番多くあったのが、脱衣室前に衣服を居室で脱ぎ体の上にシーツやタオルケットなどで覆われてはいますが、素足や体の一部が露室していることがありました。
- またある施設では、脱衣室が狭く、特にストレッチャーは大きいため場所をとるので、廊下で着脱介助を行っていました。
他から見えないようにとパーティションは置いているが、車椅子の利用者や職員が通るたびに隙間ができ、目隠しが不完全であるため他の利用者や面会者から見えることがあるのです。
排泄介助や入浴介助はとても配慮が必要
- 排泄介助は、利用者のプライバシーを配慮するために、介助の際は出来るだけ本人が聞こえる程度での声掛けを心がけましょう。
- 介助時は、利用者の排泄している姿が見えないように入り口のカーテンやトイレ内のカーテンを閉めて行いましょう。
- 排泄介助や着脱介助などを行うときには、他の利用者やときには面会者も訪問することがありますので、プライバシーには十分配慮しましょう。
- ■まとめ
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介護をする上で、利用者の人権や尊厳はとても大切なことです。介護職員の全員が気を付けていることだとは思いますが、施設に勤めて慣れてくると「ついつい」業務に追われてわすれがちになります。
良い介護をするためには、初心に戻って利用者目線でプライバシーへの配慮を心がけていくことが重要です。