No.178 介護士から見た利用者さんの観察ポイントを一人ひとりに!!
介護の現場で介護士として働く人は、サービス利用者の方をどのように観察をしながら介助支援して行けば良いのでしょうか。今回はどこを観察するのか、どこがポイントなのかを詳しく紹介します。
利用者観察のポイント
◎朝の挨拶で一人ひとりの表情を見る
送迎時の挨拶、施設であればフロアに入った際の挨拶の際に、1人1人の表情を注意して見てみましょう。それによって、"表情が曇っているな"とか、"今日も笑顔だな"などと顔色を「見て」、「観察して」、「感じ取る」事がひとつ目のポイントです。
◎声の力強さや声の調子
声の力強さや声の調子がおかしいようであれば、何かしらの異常があることが考えられます。"不安なことがあるのではないか"、"体調が悪いのではないか"といった、何かのサインである可能性があります。普段から何かいつもと違うなと感じる力が大事です。
◎利用者本人の訴えがなくても普段の観察をする
肌を触って、温かさを感じたり、顔の色が変わったりする場合は発熱の疑いがあります。また、肌がカサカサに乾燥していれば脱水症状の疑いがあります。普段からこれらのポイントを押さえた観察をしていきましょう。
異常を訴えられた場合の対応と報告
顔色が悪いことや本人が痛みを訴えている場合は、普段と違う様子が認められるので、バイタルサインを測ってみます。異常がある場合には、すみやかに医療機関へつないでいきましょう。その際、最近の便や尿の様子、食事や薬の状況を報告します。
報告の中では、ただ「食欲がなかった」といった数値化できない要素だけではなく、「主菜の3分の1を残した」、「味噌汁は全然飲んでいなかった」などの定量的な表現を使って表すことが大切です。
これらの観察のポイントは自分だけの中で閉じ込めておくのではなく、まわりや職員全員に情報を共有しておくようにする事です。
観察を妨げるものは「決め付け」
人を観察する上での「決め付け」る事は、せっかく観察して、気付いた事を間違った結論へと導いてしまいます。自分自身の考えで相手を「怒りっぽい人」、「頑固な人」と勝手に決め付けてしまうと、必要な情報が目に入らなくなるからです。
以前に自分が関わった人がこういう人だから、この人も「以前の人と同じ」という情報を決め付けてしまうと勝手に「そのような人」と思い込んでしまうかもしれません。
「百人百様(ひゃくにんひゃくよう)」ということわざが表す様に、「人の性格や考え、すべて皆同じ」という様な事は、決してないということです。
人は遠慮したり意地になったりして、自分の心情を素直に表現できないことがあります。 利用者さんを普段から観察していくことができていれば、「この人はこれが好き」、「この人はこれがイヤ」ということが分かってくるでしょう。その人の表情や声の調子、姿勢やしぐさなどの言葉以外の情報も得ることが重要です。
一人ひとりに寄り添った観察を心掛ける
「この利用者さんについては、ここを注意深く見よう」、「この利用者さんは、こんな傾向がよく見られるから、よく見てみよう」などといったように「観察」は、その人の性質や状態に合わせて「観察するポイント」を一人ひとり変えていきます。
- ■まとめ
- 日頃から「見る」、「聞く」、「感じる」を意識し、「いつもと違う」、「何かが変だ」といった事を感じ取る観察力を磨き、介護士としてのスキル向上を目指しましょう。「決め付け」ではなく、一人ひとりに合わせた観察の目を持ち、利用者さんの心情に寄り添えるように、毎日の経験を積み上げていくことが大切です。