No.142 介護士はどこを見る?その観察ポイント
高齢化率がどんどん上がっていく現代において、前線で奮闘している介護士。今後その働きは重要度を増していく一方です。介護士はサービス利用者の方を、どのように介助支援していくのでしょうか。それはどのように利用者の方を観察しているかによって決定します。今回、介護士がどこを観察ポイントとしているかについて紹介します。
介護士の世界で観察とは?
介護世界では観察が大切と言われますが、では観察とはどういうものなのでしょう。対象は物ではなく生きている人間です。無配慮で見ることが観察ではないことは言うまでもありません。
あの介護士さんは素晴らしいと言われる方は、必ずとも言える観察力または観察眼を持っています。この観察力をつけていけば、必然的に介護スキルもアップします。具体的な例を挙げながら紹介しましょう。
観察ポイント
忘れてはならないポイントが、利用者の状態及び変化を客観的に注視することです。自身では観察のつもりでも、主観的になり過ぎてしまうとそれは観察ではなくなってしまいます。
具体例で挙げると、利用者の排泄に関わることで機嫌が悪くてオムツ交換を嫌がったという時、オムツ交換を嫌がったというのは客観的事実にあたりますが、機嫌が悪かったというのは見た人の主観が入っています。
オムツ交換をどうして嫌がったのか、真実は介護者にも分からないことがあります。ですから機嫌が良くなかったという主観的なものだけになると、次に同じ事柄があっても、たまたま機嫌が良くないだけ、短気な性格の方という表面的な推察で終わります。
他に理由はなかったのでしょうか。利用者の言動や目線や仕草など全体を観察する力があれば、「この言い方が気に障ったかもしれない、喉が渇いていたのかもしれない、この事が気になったのかもしれない」と考える方向を変えます。
良い観察の3つのステップ
- ①主観で断定せずに、観察して仮説を立てて考えるようにする。
- ②立てた仮説に準じて試してみる。
- ③試みたことが良ければ、仮説が合っていたということになります。良くなければ、もう1度①に戻り別のやり方を行ってみる。
①の段階で適切に観察ができていれば、③で良く行く可能性が高くなります。そのため、観察力を高めていくことは介護スキルの向上に必要なことです。この観察力を低くしてしまう1番の要素は「決めつけ」です。「この利用者さんはいつもこうだから、今日もこうすれば大丈夫だろう」と決めつけると観察力は磨けません。
その他のポイント
- ①本人の痛みの訴え
- ・利用者が今まで経験が無いような痛みを訴えています。
- ・突然始まった痛みです。
- ・普段見たことのないような痛がり方をしています。
- ②顔色の悪さ
- ・顔色や表情はサインとなります。
- ・眉間に皺が寄って強張った表情をしている時は、異常のサインの可能性があります。
- ・仕草や声の調子、姿勢、目線もよく観察しましょう。
- ③いつもと異なる様子
- ・水分をあまり取っていない様子があります。
- ・食欲がない様子が見られます。
- ・元気が無いように見えます。
- ・反対にいつもより元気がありすぎる様子で興奮しています。
- ・排尿や排便がされていない、または色が悪く見えます。
- ■まとめ
- 介護職における観察とは?であったりその観察におけるポイント、良い観察のステップなどについて解説しました。日頃から利用者さんの気持ちに寄り添えるように「見る」「聞く」「感じる」を意識して、観察力を磨いていきましょう。