No.101 高齢者介護・認知症状進行の段階
認知症と言えば、「徘徊」「物忘れ」「物取られ妄想」「同じ話を繰り返す」等と言った行動を思い浮かべる人も多いことでしょう。しかし、それらの症状はいきなり起こることは少なく段階的に起きてきます。今回は、アルツハイマー型認知症の進行段階について解説していきましょう。
認知症の種類とは?
認知症には、「アルツハイマー型認知症」が約6割とその他、「血管性認知症、レビー正体型認知症、前頭側頭型認知症」等があります。
認知症の進行段階
【段階1. 認知機能に低下は見られない】
認知能力に問題がなく専門医の受診において問題が見られない。
【段階2. ごく軽度の認知機能の低下が見られる】
特に慣れた言葉や「名前・名称・日常的に使用していた物の置き場所」等を忘れたりします。なかなかその症状が分かりづらく、「アルツハイマー型認知症」と診断が困難である。
【段階3. 軽度の認知機能の低下が見られる】
- 家族や親しい人の名前などが思い出せない。
- 人の名前を覚える能力が低下する。
- 本や新聞の文章を読んでもほとんど覚えることができない。
この段階では、家族や周りの人が変化に気付き、専門医の受診では加齢に伴う物忘れや「アルツハイマー型認知症初期」と診断されることが多い。
【段階4 中等度の認知機能の低下が見られる(軽度または初期段階のアルツハイマー病)】
- 最近の出来事について覚えてなく認知機能の低下が見られる。
- 複雑な作業や計画を立てて行動ができず、実行能力に低下が見られる。
- 外出が億劫になり家に引きこもりがちになる。
専門医による診断では、明らかな症状や障害が見られる。
【段階5 中等度の認知機能の低下(軽度または、初期段階のアルツハイマー病)】
- 今いる場所や日付、季節などの質問に混乱する。
- 簡単な計算ができない。
- 自身の名前や配偶者・家族の名前は覚えている。
- 食事や排泄に時々介助が必要である。
認知機能の低下によって、日常生活に時々介助が必要となるときがある。
【段階6. 重度の認知機能の低下(やや重度または中期のアルツハイマー病)】
- 介護者や配偶者の名前を忘れることが多い。
- 排泄行為やその他、日常生活全般に介助が必要である。
- ときどき尿失禁や便失禁が見られる。
- 物とられ妄想や徘徊・幻覚などが見られる。
記憶障害が進行し性格が変わったり日常生活に介助が必要となる。
【段階7. 重度な認知機能の低下(重度または後期の段階のアルツハイマー病)】
- 環境の変化や声かけに反応がなくなり意思の疎通が取れない。
- 日常生活においては、全てに介助が必要となる。
- ■まとめ
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認知症の進行段階や症状も十人十色違います。身近な家族や周りの方などが認知症の初期段階の場合、サインに早めに気付き適切な診断や対応・支援をすることで、様々な周辺症状は落ち着くこともあります。認知症の症状が出ることにより、一番戸惑ったり混乱しているのは本人なのですから、介護する側は症状に合わせて適切な支援をすることです。
本人の側に寄り添い症状を受け入れて否定することなく、認知症の症状と付き合っていくことが重要でしょう。