No.93 介護職の介助について
介護職の主な仕事内容の中には「身体介助」というものがあります。大きな枠組みの「介護」と個別の「介助」との違いや、それぞれの場面での「介助」を詳しく説明していきたいと思います。
「介護」と「介助」の違いについて
まず「介護」とは、身体的な介助は当然のことながら、観察などから得たデータを基にした見守りや声掛け、また利用者様の自立した生活のための援助や尊厳の保持、家族への助言、そしてケアプランで設定した目標を達成出来たかどうかのモニタリング等、その業務は多岐に渡ります。
一方「介助」とは、食事介助、排泄介助、着脱介助(着替え)、入浴介助、移動介助、コミュニケーション介助等、直接身体に関わる「介助・支援」のことを指すことが一般的です。
基本的な介助
それぞれの「介助」を1つずつ詳しく説明していきたいと思います。技術的な事につきましては、いろいろなサイトにも載っていますので、ここでは主に心構えについて書いていきたいと思います。
◎食事介助
食事というものは、人間にとって最も基本的な生きるための行為で、最も楽しい時間でもあるはずです。しかし、そこに「介助」を要するようになった利用者の心理を考えると、「食事介助」というものは、ただ「食べさせる」だけではなく、如何に安全・安心で、しかも楽しいものにしていくか、介助者は考え続けなければなりません。無言での食事はつまらないですよね?「食事介助」で重要な技術は会話力なのかもしれませんね。
◎排泄介助
「排泄」というものは、人間にとって最もプライベートな人に見られたくない行為です。ここに「介助」が必要になると、個人の尊厳が大きく傷つけられてしまいます。介助者はそこを如何にケアするか?何のために介助者がいるのか?何故、介助者になったのか?そこを今一度考えてみるのもいいかもしれません。
◎着脱介助
「着脱介助」には大原則があります。例えば、片麻痺の利用者様の場合、着せるのは健側からか?患側からか?脱がすのは健側からか?患側からか?利用者の身になって考えてみれば、大して難しいことではありません。大切なのは利用者の身になって、考えてみることかもしれませんね。
◎入浴介助
「入浴介助」はまず、入浴へと誘導する技術も必要になってきます。入浴を楽しみにしている利用者なら問題はないのですが、拒否する利用者もいます。如何に入浴へと誘導するか?押してダメなら引いてみる、でも引きっぱなしではダメ、という経験を持っている介助者もいると思います。ここは如何に、スムーズに利用者様の気を悪くさせずに誘導するかという駆け引きになるかと思います。入浴時は利用者の好みの湯温も大切になってきます。
◎コミュニケーション介助
「コミュニケーション介助」とは何でしょうか?ここまで「食事、排泄、着脱、入浴」と「介助」の心構えを書いてきましたが、すべてにおいて共通する技術が「コミュニケーション技術」です。コミュニケーションとは、何も言葉のキャッチボールがなくとも聴くだけでも成立することがあります。
「傾聴」という言葉がありますが、これは利用者の話を聴くということです。聴くとは、十の目と耳と心を傾けて聴くということです。時には相槌を打ち、時には目を見て、時には目を合わさずに、場面に合わせて心から聴くことです。それが出来れば、自然と共感するはずです。
利用者の心と介助者の心がシンクロします。そして受容です。全てを受け入れることで、対策を練ることが出来ます。人は身体だけでなく心もあります。「コミュニケーション介助」は心の介助だといえるのではないでしょうか?
- ■まとめ
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介護職の主な仕事となる「身体介助」は、それぞれの利用者に合わせたテクニックが必要です。しかし、必要なのはただ物理的に動きを支援するだけではありません。日々の適切な「介助」から徐々に信頼が生まれ、その信頼関係の上に全体の「介護」ができるようになるのです。何故、介護をするのか?されるのか?介護とは何か?これを考え続けることがより良い「介助」に繋がるのかもしれませんね。