No.92 介護費用の法律何がある?
自治体の支援と介護費用は法律と深い関わりがあります。介護従事者が触れる機会の多い利用者への提案、多職種連携での支援に役立つ法律や制度など、調べていきたいと思います。
- ◎その1:介護休業制度
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働く者が介護を行わなければいけない家族のために一定期間休業することが「介護休業制度」です。「育児・介護休業法」で定めている法律となり、雇う側は申し出を断ることはできません。
正式名称は「育児休業・介護休業等育児」又は「家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」となり、育児と介護と仕事の両立のため作られたもので、「休業・時間外労働・深夜労働制限・勤務時間短縮配慮・不利益取扱い禁止」などで定められています。
- ◎その2:成年後見制度
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判断能力が不十分な人(認知症・知的障害・精神障害)等は、自分で判断して対処が難しい場合があります。
例えば、不動産や預貯金管理・介護サービス・施設入所手続き・遺産問題等。高額な商品や売り込み(必要ないリフォーム契約)等、自分に不利益な契約で判断ができず被害にあう場合が増加しています。権利擁護を目的に被害を防ぎ、判断能力不十分の人のため2000年「成年後見制度」が作られました。
- ◎その3:介護医療の確定申告
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医療費を自分自身または家族のため支払った場合、確定申告することで「所得控除」を受けられます。控除された金額に対し、所得税が軽減されるのが「医療費控除」になり、介護のために支払う費用は一定の要件を満たせば「医療費控除」の対象となります。
「社会保険料控除」の対象は、「介護保険料、健康保険料、年金保険料」となります。
- ◎その4:日常生活支援事業
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若いうちはほぼ出来ていたこと、日々の金銭支払いや書類の保管など高齢になるといろいろな手続きが難しくなり重荷になることがあります。認知症の高齢者の多くには、不動産や預貯金の管理、施設への入所手続きなど支援が必要になります。高齢者が自立して安心して暮らせるよう、法律では保護や支援を行っています。
- ◎その5:相続と贈与
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基本的に相続財産を処分する方法は2つあり、亡くなった後に遺言などに基づいて財産を相続する「遺産相続」と財産を生きているうちに贈与する「生前贈与」の2つです。
- ◎その6:高額療養費制度
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医療と切り離して考えられないのは、加齢と病気が複雑に重なる高齢者の体です。しかし、高額な医療費は高齢になってからは大きな負担です。
2018年8月以降、病院など医療機関や薬局などの窓口で支払った医療費の自己負担額が一定金額を超える場合、「高額療養費」として給付される制度になります。
- ◎その7:公的年金制度
国が運営主体となって、社会保障制度の一環として行う年金制度の総称が「公的年金制度」です。老後の生活を実質的に支えている大きな柱になります。
- ■まとめ
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介護関連などは他人事ではありません。普段から情報を集め、どのような場面でも慌てないように心構えておくようにしましょう。さまざまな制度や法律があるので、自身や家族のために活用して役立てられるようにすることが、生活によい影響をあたえるはずです。