No.75 介護において 心身を清潔に保つ清拭の効果
介護の現場でよく行われている「清拭」という介助がありますが、一体どのような場合に行われるのでしょうか? 今回は「清拭」の介助方法や効果について考察していきましょう。
清拭とは?
高齢者や患者など体調が悪く入浴やシャワーを浴びることが出来ない際、身体の汚れを落とすためにベッド上で寝たまま、または、座ったままで、お湯などで身体を拭く介助をすることです。体の一部を拭く「部分清拭」、体全体を拭く「全身清拭」があります。その日の利用者の心身状態に合わせて行いますが「部分清拭」ですと、2日~3日に分けて行うこともあります。
清拭で気をつけること
【ポイント1】 清拭は身体を冷やさないように、日中の温かい時間、暖かい場所ですることが最善とされています。
【ポイント2】 清拭は身体を冷やさないことに注意して、バスタオルなどで覆いながら出来るだけ肌の露室を少なくするように心がけましょう。
【ポイント3】 1度に全身を拭いてしまうと冷えてしまいますので、体を部分的に分け拭いてあげると良いとされます。それを日替わりですることで介護者への負担も減ります。
【ポイント4】 清拭を行う際、力を入れて拭くことで皮膚の弱い高齢者への身体に影響を与えてしまうことには、十分注意が必要です。
清拭の方法
洗面器に入れた湯の温度は、50度~55度で患者さんや高齢者の皮膚にあたるタオルの温度が40度~42度に保てるようにすることが望ましいと言われています。清拭を行う際の身体の各部の拭き方について説明していきましょう。
〇顔・首
この部分は中央から外側へ、また耳の裏や首には汚れが溜まりやすいので念入りに拭きましょう。
〇手・腕
手首を軽く持ち、手・腕を拭いていきます。指の間もとても汚れやすいポイントなので細かく拭きましょう。
〇胸・腹
胸・腹は円を描くように拭きましょう。女性の場合は乳房の下に汗をかきやすいため、忘れずに拭きましょう。
〇背中・腰
身体を横向きにしてあげ、マッサージをするように両脇の下から上に向け拭き、お尻は床ずれが起きやすくなってしまうため念入りに拭くことが重要となってきます。
〇足
片足ずつ膝を立て、支えながら拭いていくことです。膝裏、指の間も念入りに忘れず拭きましょう。
〇陰部
一番汚れが溜まりやすい部分なので、陰部専用タオルを使用します。デリケートな部分でもあります。他人に触れられるのは嫌な部分でもあるので可能であれば、本人に拭いてもらいましょう。それが出来ない場合は、同性介助を心がけましょう。
清拭の効果!!
入浴やシャワーなどは日常生活で当たり前のことなのですが、身体の汚れ(汗・垢)を拭いてあげ身体を清潔に保つことで精神的な爽快感を与え血行を促進し褥瘡予防などに繋がります。
寛ぎ(リラックス)を与えマッサージ効果や安眠効果などの促進にも役立つとされています。
- ■まとめ
-
清拭は体調不良などのため入浴が出来ない場合などに行われていますが、身体の清潔を保持するためだけでなく精神的安定にも効果があると言われています。高齢者の清拭を行う際は、皮膚の状態に気を付けて力の加減にも気を付けて安全な清拭を行いましょう。