No.74 在宅介護と施設内介護 看護の観点から
介護を必要とされる方は、大きく2つのタイプに分けられます。ご自宅でご家族による介護を受けながら生活されている方と、介護施設に入所し専門スタッフのケアを受けながら生活されている方です。各々のケースにおいて、職務上介護職員が対応するには困難な看護の側面が果たす役割について見ていきましょう。
在宅介護における看護
自宅で主な介護をご家族から受けておられる方への看護は、訪問看護に当たります。看護師が介護を受けておられる方のご自宅に訪問し、その主治医と連携しながら行っていく看護の在り方です。
検温や血圧・脈拍の測定といったバイタルチェックや病状に応じた医療行為など、病院内と共通した仕事を行います。
加えて、ハンディを負った方への介助を行う場面が必ず生じるものと考えておくべきでしょう。病院内等などでも患者さんへのケアが欠かせないのは勿論ですが、日常生活においてハンディに即した介護を要する方を相手にする場合、より気を配っていかねばなりません。
それら以外にも、入退院の際のご相談対応、必要と考えられる介護サービスのご紹介、利用者さんの介護生活に関係する各機関との連携など、利用者さんの療養生活についてさまざまな支援や調整などを行っていくことになります。
介護施設における看護
ハンディキャップを持つ入所者の方々をサポートする介護施設では、介護やリハビリなどの専門スタッフが24時間体制で業務に携わっています。介護施設内勤務の看護師もその専門スタッフの一員として、看護・医療の側面から入所者さんの健康や生活を支援していくことになります。
バイタルチェックなど、病院と共通する看護を行いながら、処方されているお薬の管理など、日常的に利用者さんの状態を見ながら健康面をサポートしていく役割を担います。
概ね入所者さんの日常生活のサポートは介護担当スタッフが行いますが、いつでも即時に対応できるとは限りません。時には看護師が介助行為に当たらなければならないケースが必ずあるものと考えておくべきでしょう。
また時には、入所者さんの容態の急変により、看護師に医療的判断が求められる場合もあります。そのような事態に備え、入所者さんが抱えるハンディまたは病状について充分把握しておき、各々の主治医からあらかじめ緊急時の対処法について指示を仰いでおくなど、対応策を講じておくことも大切です。
共通して大切なポイントはハンディへの気配り
介護を必要とする方への看護について、在宅介護と施設内介護の両方のケースを見てきましたが、どちらにも共通して言えるのは抱えているハンディへの配慮ということに尽きるでしょう。
日常的に何らかの介護を必要とする方への看護の場面では、特にハンディを負っていない方を相手にする時以上のケアが求められます。適切に対応していくためには、自分が看護を施す相手はどのようなハンディを抱えているのか、どのように接しどのように介助していくのが合っているのか、といった点をよく熟知しておかなければなりません。
- ■まとめ
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以上、介在宅介護を受けている方と介護施設に入所している方の2通りの場合について、看護の領域における仕事の在り方を見てきました。特にハンディを持たない方を看護する場合でも言うに及びませんが、ハンディを抱える方を相手にする際にはより一層のケアの意識が大切です。