No.173 介護士の仕事環境について、予測される未来
年齢65歳以上の高齢者に定義される方々の数が、人口の21%以上である超高齢化社会。日本は2007年からその状態に達し、現在(2022年)も高齢者人口は増加傾向にあります。そんな中、未来における介護士の働き方や環境はどのように変化していくと考えられるでしょうか。
増加傾向が継続すると考えられる介護士需要
病気・障害・加齢などのため心身が不自由となった方へのケアやサポートを行う介護職。その中にあって、国家資格である介護福祉士は、その高い専門的スキルで介護現場の中心的役割を果たす職責を担います。
そんな介護福祉士のニーズは将来、どのように変化していくと考えられるでしょうか?結論から言えば、これから先も需要は増え続け、社会的重要性がさらに高まると見られています。
現在、高齢者の人口比率は年々増加傾向にあり、超高齢化社会がさらに促進している状況です。政府の試算では、高齢者比率の割合は2040年代まで上昇し続け、約4000万人にまで達すると予測されています。それに伴い、介護を必要とする高齢者も増加していくことが予想され、その対応のため介護士の存在がいっそう重要視されるものと考えられます。
介護現場へのAI技術導入
現在の時点で、介護職員の数は全体的に人手不足と見做されており、その状態は今後、年々高まっていくと見られる高齢者比率に併せて、ますます深刻になっていくと見られています。
解決の糸口として、外国人労働者の受け入れなど様々な方策が打ち出されています。中でも注目を集めているのが、ロボットやAIなどIT技術の導入です。これらを介護のあらゆる局面で取り入れていくことで、介護士の負担軽減および業務効率のUPが期待されています。
これらIT機器の活用について、介護業務の内容によっては一部で既に実施されている例も見られます。人の行動をAIがモニタリングする機器を用いて行われる、利用者様の安全を確保するための見守り。
ケアプラン作成をサポートし業務負担軽減と円滑化が図れるAIマネジメント。そのような局面でIT技術を活用し、人工知能であるAIによって、従来介護士のマンパワーで行われていた業務を一部肩代わりするという状況が既に始まっているわけです。
これから先の未来においても、介護現場におけるロボットおよびAIの活用が期待されています。介護現場でとくに負担が大きいとされている、移乗・入浴・排泄・コミュニケーションといったシーンに対応するAIおよびロボットの開発・生産が現在、メーカー各社で進められている状況です。
今後、これら介護職員のケアやサポートを支援あるいは代替する機器が、徐々に介護現場に浸透していくことでしょう。
介護環境における課題
介護におけるIT技術利用拡大が進む中、課題も残されています。新しい機器が登場する反面、介護職員はその操作方法や取り扱い方などを習得する必要に迫られ、却って業務負担が重くなってしまうのではないか、という懸念もその一つです。
メリットを充分に発揮できる実用モデルの確立や、介護職員自身の意識改革など、課題を一つ一つ着実にクリアしていく姿勢が、未来に向けた介護の在り方を確かなものとするでしょう。
- ■まとめ
- 将来的に超高齢化社会の色合いがますます深まっていくのは確実視されています。そのような状況下で、介護職員の負担軽減を図り、利用者様へのサービス提供の確保を両立させるには、AIやロボットなど、IT技術の効果的な実用体制確立が重要な鍵であると言えます。