No.170 研修の受講が必要? 介護士のたん吸引について
介護士がたんの吸引を行うには、どうすればよいのでしょうか。たんの吸引を行う場合に必要な研修や、たんの吸引を行えるようになるまでの流れなどについて見ていきましょう。たんの吸引について理解し、自身のスキルアップにつなげましょう。
たんの吸引について
私たちはたんを溜め込まないようにくしゃみや咳のほか、無意識に飲み込むなどして自力で処理をしています。ですが、高齢になると身体機能の衰えなどにより自力でたんの処理を行うことが難しくなります。
たんがのどに溜まると、呼吸困難や窒息などを引き起こす恐れがあります。そのため、このような高齢者に関しては他者がたんを取り除く(吸引する)必要があります。取り除く際は、吸引器につなげたチューブの先端をのどや鼻に入れて溜まっているたんを吸い出します。
また、たんの吸引は医療行為にあたります。そのため医師や看護師のほか、一部の介護士など限られた人しか行うことができません。
たんの吸引を行う場合に必要な研修について
介護士がたんの吸引を行う場合、喀痰吸引等研修を修了する必要があります。この研修は、たんの吸引や経管栄養を介護職員が行えるようにするためのものです。研修は基本研修と実地研修に分かれており、基本研修では50時間の講義受講と項目に沿った演習を行います。
実地研修では口腔内の喀痰吸引など、決められた項目と回数に従って喀痰吸引や経管栄養を実際に行っていきます。研修を修了すれば、医師や看護師と連携してたんの吸引や経管栄養を行えるようになります。
介護士がたんの吸引を行えるようになるまでの流れ
介護職員と介護福祉士では、たんの吸引を行えるようになるまでの流れが異なります。介護職員の場合、まずは喀痰吸引等研修の基本研修と実地研修を受けて修了証明書をもらいます。その後、都道府県へ認定証交付の申請をして認定を受けます。
一方介護福祉士は、介護福祉士の資格をいつ取得したのかによって研修の受講内容が異なります。2015年よりも前に取得している場合、基本研修と実地研修の二つを受ける必要があります。
2015年よりも後の場合は、実地研修のみを受けます。これは、介護福祉士の受験資格の一つである実務者研修が関係しています。この研修で学ぶ医療的ケアは、基本研修と同じ内容になります。
そのため実務者研修を修了している場合は、基本研修の内容を既に修得していることになります。2015年よりも前は医療的ケアを学ぶことが必須ではなかったため、基本研修も受ける必要があります。
また実地研修を受ける際は、たんの吸引が必要な方を受け入れている施設などへ就職する必要があります。就職した職場で実地研修を受けて、修了証をもらいます。
その後、社会福祉振興・試験センターにて介護福祉士の登録証へ喀痰吸引等行為についての内容を付け足してもらいます。介護福祉士であっても、研修を受けなければたんの吸引は行えないため気をつけましょう。
- ■まとめ
- 今回は、介護士のたん吸引についてご紹介しました。介護福祉士の場合は、資格を取得した時期によって研修の受講内容が変わるため注意が必要です。また介護職員の場合、まずは介護福祉士を目指すなど段階を踏んでスキルアップしていくことも検討してみましょう。