No.155 介護士による生活リハビリとは?
リハビリは理学療法士や作業療法士が行うもの、というイメージがあるかもしれません。しかし介護士の方でもできる「生活リハビリ」というものがあります。今回は生活リハビリについて、その目的やポイントなども含めて紹介します。
機能回復リハビリ
国家資格を持った理学療法士(PT)や作業療法士(OT)が行うリハビリで、疾病やケガによる機能回復を目的に訓練をします。回復リハビリは、一部の機能を回復させることが主な目的です。また誰もが長期にわたって利用できるリハビリではありません。
生活リハビリとは
日常生活の活動や動作そのものをリハビリと捉え、体の機能回復や維持ができるように支援する方法です。高齢者は加齢に伴い筋力や体力が落ちていきます。運動機能の低下による寝たきりを予防し、自立した生活を送ることを目的に行います。
体の機能は適度に動かしたり使ったりすることで、回復・維持することができます。そのことから利用者の方には可能な限り体を動かしてもらい、転倒や寝たきりなどのリスク予防に繋げていきましょう。
生活リハビリは着替えやトイレ・食事や入浴などの動作もリハビリと捉えるので、そのケア(介助)を行っている介護士の方は普段からリハビリも行っていると言えるでしょう。リハビリも兼ねているということを意識して介助を行うことで、より効果が期待できます。
「続ける」「続けられる」ことの重要性
たとえば集団体操や運動を無理に提案しても、拒否をされたり続かなかったりする時もあります。そのような場合でも入浴(着替え)などの際に、最小限の介助量でサポートをすることで利用者は自身で「体を動かすこと」を無理なく続けることができます。
体を動かすことが機能維持に繋がるので、「続ける」「続けられる」ということは重要です。
生活リハビリのポイント
介護が必要な方に無理をさせてはいけませんが、過度の安静や利用者が介護士などの介助者に依存してしまうことも良くありません。以下に生活リハビリのポイントを紹介します。
- 〇入浴介助
- 入浴では「衣服の着脱」や「頭や身体を洗う」場合によっては「浴槽をまたぐ」などといった、体を動かす場面が多くあります。安全面に留意しながら可能な限り本人ができる動作はご自身で行ってもらうように、介助や声かけを行いましょう。
- 〇排泄介助
- 排泄介助では陰部を拭くといった行為もあります。できる限り本人ができることはご自身にさせましょう。そうすることで利用者の尊厳を守ることにも繋がります。またトイレまで自力で行けない場合は、ポータブルトイレを活用するという方法もあります。
- 〇食事介助
- 普通のお箸が使えないからと安易に食事の介助をしてしまうと、利用者の生活機能が低下してしまいます。持ちやすいお箸やスプーンに変えてみたり、補助具を使ったりするという方法もあります。
このように本人の身体能力(できる動作)を把握し、その能力を生かし過介助にならないように行うことがポイントです。適切な介助量で生活機能の低下を防ぎましょう。
- ■まとめ
- リハビリにもいくつか種類がありそれぞれ目的も違います。介護士が行う生活リハビリは、利用者の自立した生活支援に繋がります。利用者の心身の状態を把握し、個々に合ったケアや運動・声かけを行いながら体を動かす機会を増やしていきましょう。