No.115 介護士は医療従事者?医療行為はどこまで許される?
多くの医療機関で働いている介護士ですが、介護士という職業は医療従事者に含まれるのでしょうか?また、介護施設や訪問介護の仕事をしていると、利用者やその家族から医療行為を求められて困ったという経験があるでしょう。法令により、介護士が行える医療行為には厳しい制限があります。今回は、医療従事者の定義と介護士が行える医療行為について解説します。
医療従事者と呼ばれる職業
医療従事者とは、医師や看護師など医療行為を行える人を指します。その他にも、薬剤師、管理栄養士、臨床検査技師、放射線技師、救命救急士なども医療従事者に含まれます。
他にも理学療法士、作業療法士などの療法士、あんまマッサージ指圧師、はり鍼灸師、柔道整復師などの代替医療に従事する人も含まれます。
医療従事者という定義は実は曖昧になっていて、医療に携わる職業全体のものを指すと、介護士については医療従事者になります。そして、介護士は老人保健施設、介護老人施設だけでなく、病院などの医療機関でも働いています。医療行為は禁止していましたが、解禁になり一部はできるようになりました。
医療補助行為をするために必要な資格
国家資格である介護福祉士の資格を持っていればもちろん医療行為の一部はできますが、各都道府県で講習を受ける事で修得できる「介護職員初任者研修」や「介護福祉士実務者研修」の資格保有者も医療行為を一定の条件もとで認められています。
介護士の行える医療行為はどこまで?
医療に関わる職業についている人は数多くいますが、実際に厳密な医療行為を行うことが許されているのは医師と看護師に限定されます。では、具体的に何が医療行為に当たるのでしょうか? 順番に見て行きましょう。
- ○爪切り・爪やすりかけ
- 爪切りをしてくれるよう訴える施設利用者は多いと思います。しかし、ここでも注意が必要です。巻き爪の場合、爪を切る行為は医療行為とされ、医師又は看護師でないと行うことが出来ません。変形などの無い爪であれば介護士でも切ることが許されています。
- ○絆創膏やガーゼの交換
- 絆創膏を貼る場合やガーゼを取り換える行為は介護士でも出来るとされています。
- ○痰の吸引および経口栄養
- 介護福祉士や介護福祉士実務者研修の資格を持っていれば、一定の要件を満たして痰の吸引をすることが許されています。
医師、看護師以外でも行う事が許されている行為
介護士など、医師や看護師以外でも行える行為には次にあげるような物があります。
○体温計を用いた腋下や外耳道での体温測定
○自動血圧測定器を用いた血圧測定
○パルスオキシメーターを用いた動脈血酸素飽和度を測定する行為
※新生児以外で入院治療が必要な場合を除く
※以下は医師などの確認付きで本人や家族の了解による条件の元で可能
○軟膏塗布
○目薬の点眼
○服薬介助
○坐薬の挿入
○鼻腔粘膜への薬剤噴霧の介助
- ■まとめ
- 施設利用者やその家族から要望されても、法令上介護士には許されていない行為は多く、医師・看護師との連携が重要と言えます。決して無理することなく、法令で許される範囲で介護士の仕事を頑張ってください。