No.11 介護と自立支援の重要性とは?
介護をするうえで「自立支援」という言葉をよく耳にするのではないでしょうか。食事などうまく出来ない要介護者を介助したくなる気持ちは分かりますが、要介護者の視点に立つと「見守る」ことが良いこともあります。今回は、介護における「自立支援とは何か」その方法や考え方についてみていきましょう。
介護保険、自立支援の考え方とは?
介護保険のめざす考え方は、介護が必要になった(加齢に伴って心身の衰えなど)ときの「尊厳の維持」や「自立支援」が主な目的となっています。
これまでの介護の考え方は、介護が必要になった方の「できないこと」を介助等で手助け(サポート)をすることをしていました。
一方で、介護し過ぎてしまう(サポートし過ぎる)と、身体機能の能力を利用する機会(今後できるようになる可能性がある)を奪ってしまうのではないかと指摘されています。
例えば、食事の際に要介護者が食べるのが遅く(口まで運ぶのが遅く)時間がかかるという理由から、つい介護士が食事を介助(手助け)することが多くあります。
しかし、食事摂取が遅くとも一生懸命に食べること=「食べることへの意欲」や「自力摂取する能力」をしていますので、介助することで逆に「要介護者が自立する」ことを妨げている可能性もあります。
本人の食事動作を見守りながら「ときには介助する」ことで、要介護者の食事摂取への意欲が維持され=「自立した食事(リハビリテーション)」につながるのではないでしょうか。
残存機能を利用する=「自立への近道」
仮に、麻痺等で下半身が動かなくなったとしても、上半身の機能が使えるのであれば、車イスやベッドからの移乗や移動の際に、上半身の力を利用してベッド柵をつかみ寝がえりをすることができます。
その方の「上半身の筋力維持・改善」となるのは、「自立支援」=「リハビリテーション」につながるのです。
このように、要介護者が残っている機能=「本人が保持している能力、意欲、筋力など」を「残存機能」といいます。この残存機能を利用することが自立への近道といえるのではないでしょうか。
リハビリテーションの重要性とは?
介護予防とは、高齢者などが要介護状態にならないように予防に努めることです。介護が必要になった場合は、その回復(残存機能などを利用し)を目指し、回復が難しいと判断された場合は、これ以上悪化しないように予防に努めることが重要です。
明らかに機能低下が認められるときには、心身の低下予防や機能の回復を図るためにリハビリテーションを重視しています。近年では、要介護にならないうちから介護を予防するためのリハビリテーションの必要性があるとされています。
介護保険改正では特に「リハビリテーションと予防」に力をいれた政策に転換しています。
- ■まとめ
- 忙しさ故、要介護者を見守りながら介助することは、忍耐力が必要です。なぜなら介護士が介助する方がスムーズにいくからです。しかし「要介護者の自立支援の視点」(要介護者にとって自立支援になっているのか)で考え心がけていくことが、要介護者の自立支援(リハビリテーション)につながるといえるのではないでしょうか。