No.96 介護現場での塗り絵について
介護現場での塗り絵は、レクレーション等で行われることが多いようです。介護のレクレーションにはどんな意味があるのか?レクレーションで行われる塗り絵には、どのような効果があるのかを説明していきたいと思います。
介護のレクレーションにはどんな意味があるのか?
介護現場でのレクレーションはただ楽しいからやっているわけではなく、きちんとした理由があってやっています。
例えば、「風船バレー」や「モノ渡しゲーム」等は一見簡単なように見えますが、風船など渡すものを目で確認して適切な動作をするというのは、実は脳内で高度な処理が行われているのです。
このように、普段使わない部分の脳を鍛えることで「認知症予防」になります。また、身体を使うことで筋肉も鍛えられ、日常動作がスムーズに行われるという効果もあります。
塗り絵の効果とはいったい何なのでしょうか?
塗り絵をするとき、まず下絵を確認します。次にどんな色を塗ろうかと考えます。そして上手に手をコントロールして着色していきます。この一連の動作で、脳全体が活性化されることが分かっています。
- 後頭葉(後頭視覚野):色や形を確認し、どんな下絵か把握する
- 側頭葉(側頭連合野):過去の記憶の中からその絵に適した色を選ぶ作業
- 頭頂葉(頭頂連合野):最適な位置や遠近感、方向や全体の構成
- 思考や創造・意欲、計画や遂行、そして、それらの情報から動作を指令する「前頭葉(前頭連合野)」と、脳全体が活性化します。
塗り絵を取り入れる際の注意
一見、子供じみた塗り絵ですが、どのように介護現場に取り入れ、どこに注意するべきかをお伝えしていきたいと思います。
一口に塗り絵と言っても、難易度や絵柄など様々なものがあります。
例えば、同じ高齢者でも身体レベルの状態や、意識の違い(古い考え方、現代的な考え方など)利用者様によって様々です。身体レベルの低い方に、難易度の高い塗り絵はストレス以外の何物でもありません。逆に現代的な考え方の利用者様には、懐かしい昭和の絵柄などは、これもまたつまらないものになるでしょう。
脳全体を活性化させるために大切なのは、夢中になって楽しむことです。色々なパターンの塗り絵を準備して、それぞれの利用者様に合った塗り絵を提供していくのも、介護職員の大切な仕事になると言えるでしょう。
- ■まとめ
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介護で使える塗り絵は色々なところから手に入れることが出来ます。ネットからダウンロードも出来ますし、100均ショップなどで手に入れることも出来ます。パターンも様々、多種多様な塗り絵が揃っています。
様々な利用者様に合った適切な塗り絵を提供すること。介護職員はこれを意識するだけで、効果が随分と変わってくると思います。認知症予防、日常動作のリハビリ効果。そして何よりも、利用者様が塗り絵に夢中になり生き生きと目を輝かせながら、一生懸命頑張っている姿を見ることは介護職員にとって大きなやりがいにも繋がることでしょう。