No.83 介護のどのような状態のことを「要支援」というのか
介護の度合いを「要介護度」と言います。介護保険で利用できるサービスは、その度合いによって異なります。「要介護認定」は介護の度合いを判定したものです。介護の「要支援」とはどういう状況なのか、どんなサービスを受ける事が出来るのか見ていきましょう。
「要支援」について
要介護認定の判定は、「要支援1~2」と「要介護1~5」の7段階に分けられます。今回は「要支援1~2」についてみていきましょう。
【要支援1】
食事や入浴、衣服の着替え、トイレ、移動など日常的な生活のほとんどは自分でできるが、予防のため何らかの支援が必要な状態のことです。
【要支援2】
掃除や身だしなみ等、身の回りの動作能力が下がっているため、何らかの支援が必要だが状態の維持や改善する可能性が高い状態の事です。
利用できるサービスとは
「在宅」・「施設」・「地域密着型」とサービスが3つに分かれます。基本的には、市区町村によりサービス等は違いますので確認が必要になります。また、サービスを利用する際は 「介護予防ケアプラン」(介護予防サービス計画)の作成が必要です。作成は、地域包括支援センターに依頼します。
【在宅サービス】
○介護予防支援(ケアマネジメント)
適切にサービスを受けられるように、利用者の状況や環境、家族の要望を考慮して、「介護予防ケアプラン」(介護予防サービス計画)の作成など、事業者との調整を行います。
○介護予防訪問入浴介護
自宅にお風呂がない場合や、感染症などの理由から他の施設で入浴ができない場合に、入浴設備や簡易浴槽を完備した移動入浴車などで訪問して介護します。
○介護予防居宅療養管理指導
医師や歯科医師、薬剤師などが、自宅に訪問し療養上の管理や指導をします。(歯のチェックなど)
○介護予防訪問リハビリテーション
自宅でリハビリをしたい、自分ではリハビリが難しいなどの場合に「理学療法士」・「言語聴覚士」・「作業療法士」が自宅へ訪問し、リハビリをします。
○介護予防訪問看護
病気などで外出が難しい、径管栄養などの点滴をして欲しいなどの場合、看護師が自宅に訪問し療養上のお世話や診療の補助をします。
○デイケア(通所リハビリテーション)
医療機関や介護老人保健施設などで、「理学療法士」・「言語聴覚士」・「作業療法士」のリハビリをします。ストレッチ、筋力トレーニング、バランストレーニングなど運動機能の向上。
低栄養を予防するため、食事の取り方や作り方などの指導、情報提供などをします。また、歯磨きや入れ歯などの指導や摂食、嚥下機能の訓練なども含まれます。
○ショートステイ(介護予防短期入所生活介護)
特別養護老人ホームなどに、短期間入所している利用者に「入浴、排泄、食事」などの支援や機能訓練をします。
○ショートステイ(介護予防短期療養介護)
介護老人保健施設などにおいて、短期入所している利用者に医学的管理の下で看護や機能訓練、医療などを支援します。
○住宅改修費の支給
日常生活の自立の補助、介護者の負担軽減ため住宅改修工事の費用を支給します。事前に申請し、同一の住宅について改修は一度だけとなります。
- 手すりの取り付け
- 引き戸の取り換え
- 洋式トイレへの取り換え
- 段差の解消
- 滑り止め、円滑な移動のための床や通路の変更 など
○特定介護予防福祉用品販売(特定介護予防福祉用具購入費支給)
入浴や排泄に使用する福祉用具の購入費が支給されます。(指定された事業者から購入。1年間に10万円を上限とする)
- 腰掛便座
- 入浴補助用具 など
○介護予防福祉用具貸与
日常生活の自立の補助、福祉用具を貸与します。
- 歩行器
- 歩行補助杖
- スロープ
- 手すり など
【施設サービス】
○介護予防特定施設入居者生活介護
指定された有料老人ホームなどで、常に介護を必要とする在宅生活が難しい利用者に、機能訓練や生活上のお世話や看護の支援をします。
【地域密着型サービス】
○介護予防認知症対応型通所介護
認知高齢者を対象として、入浴、排泄、食事などのお世話や機能訓練をします。
○介護予防認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
認知症高齢者が、少人数で共同生活をする住居(グループホーム)での入浴、排泄、食事などの支援や機能訓練をします。(支援1の方は利用できません)
○「介護予防小規模多機能型居宅介護」
身近な地域の事業所で、通所を中心に短期の宿泊、自宅訪問を組み合わせ入浴、排泄、食事などの支援、機能訓練をします。
- ■まとめ
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要支援1や2と認定された方は、介護保険の介護予防サービスの利用が可能になります。それらのサービスをうける目的は、介護状態が酷くならないように予防することや症状の緩和、回復を目的としています。