No.72 介護職3年目の壁とキャリアアップ
介護職員にとって、3年というのは大きな意味を持ってきます。その一つが現場での責任が増すということでしょう。しかし、給与はと言うとなかなか上がってこないのが現状です。
一方、介護職で3年というと国家資格である介護福祉士の受験資格が得られる時期でもあります。この時期、介護職員にとって注意すべき点や目指す方向について書いていきたいと思います。
介護職3年目の壁
介護労働センターによる調査によると、介護職の全離職者の73.9%が3年以内に離職しています。その原因の中には「給与が上がらない」「責任が重くなった」などの他に、いわゆる「燃え尽き症候群」と言われるものもあります。
燃え尽き症候群とは
別名バーンアウトと言われています。仕事への情熱や意欲を失ってしまう状態です。介護職のように対人となる職種に多くみられます。
〇燃え尽き症候群の症状
【情緒的消耗感】
これは真面目に思いやりのある対応を積み重ねていく事で、情緒的な心のエネルギーを消耗してしまい強い疲労感を感じる状態です。
【脱人格化】
相手の人格を無視した、思いやりのない割り切った対応など、相手の人格、自分自身の人格さえも見失ってしまいます。
【達成感の低下・自信の喪失】
「情緒的消耗感」や「脱人格化」は、介護サービスの質を低下させます。その結果、達成感が得られなくなり、仕事のやりがいを感じられなくなったり、自信を失ったりしてしまうこともあります。
介護職員にとってやりがいや自信はとても重要です。決して高くない給与でも続けてこられたのは仕事のやりがいと仕事に対する自信の両方があったためだという人も少なくありません。これを失ってしまうと仕事だけでなく日常生活にも影響を及ぼしかねません。
バーンアウトしないために重要なことは、あまり生真面目に考えずに自分の人生70%、介護の仕事30%くらいに考えることだと言われています。
次に介護職3年目からのスキルアップについて書いていきたいと思います。
介護福祉士について
介護職3年、言い換えると介護の実務経験が3年あるということは、介護福祉士の受験資格が得られるということです。介護福祉士は介護系の資格の中でも唯一の国家資格です。
実際の介助だけでなく、介護者からの相談に応じてアドバイスしたり、精神的な支えになったりとその役割は多岐に渡ります。また介護現場でヘルパーさんに指導やアドバイスなど現場のリーダー的存在になっていきます。
介護福祉士からのキャリアアップ
一般的なキャリアアップの一例を見ますと、介護福祉士としてキャリアを積むと次第に相談業務が増えてきます。そこで管理職を目指すのか?生活相談員を目指すのか?の分かれ道になります。
生活相談員を目指すなら、介護福祉士に加えて社会福祉主事任用資格も欲しいところです。生活相談員としてキャリアを積むと自然と目指し始めるのが、ケアマネージャーです。
ケアマネージャーの業務は責任重大ですし大変な業務ですが、それだけ給与も多くなり、目指す価値のある資格だと考えられています。
- ■まとめ
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介護職3年は、色々な意味で分かれ道になってくることが多いようです。壁に突き当たるのも3年目。これを超えると一気にキャリアアップの道が開けてきます。資格などの勉強はテキストを眺めるのも良いのですが、答えは全て現場にあるといっても過言ではないでしょう。
職員同士で意識を高め合い、技術や知識を共有し、切磋琢磨することがより良い介護サービスに繋がっていくのかもしれません。