No.45 介護事業所での有給休暇の取得が義務化された
介護事業所で働いている介護職員などは、シフト制のため土日、祝日に休めないことが多く、また人手不足も重なって、有給休暇の取得が困難だという声をよく聞きます。
今回は、介護事業所での有給休暇取得の状況について考察してみましょう。
そもそも有給休暇とは何?
有給休暇とは、労働基準法第39条で決められていて、会社や事業者(使用者)に雇用された人が使用する権利であり、有給休暇を行使しても賃金が発生します。正式には「年次有給休暇」といいます。
有給休暇取得するための条件(フルタイムの場合)
雇い入れの日から起算して6カ月間、(全労働の8割出勤していること)が有給休暇、付与の条件となります。
アルバイトでも有給休暇があるの?
アルバイト、パートタイムなどの労働者でも一定の条件を満たせば、有給休暇の取得が可能です。フルタイム労働者と同じ条件で、会社や事業所に雇用されてから6カ月間、8割以上の勤務が条件となります。
尚、週の労働日が5日以下の場合は、労働日数に応じて付与される有給休暇の日数が変わってきます。
介護の現場は、有給休暇がとりづらい
介護の現場に限らず、すべての業種で人手不足であり、有給休暇がとれない、もしくは、とるのが困難であるなどの理由が多くあります。
法律で休暇取得が義務化された
2019年4月から規模を問わず、すべての企業に対して10日以上の有給休暇の権利がある従業員に、最低でも年に5日以上の有給休暇取得ができるように法律で義務化されました。
もし、違反すると従業員1人に対して、30万円以下の罰金が科せられます。
これは、介護事業所も例外ではありません。雇用者は希望すれば、有給休暇を請求する権利があります。しかし、業者側に忙しくて人手が足りないなどの理由がある場合、日にちや時期を計画的にずらして、改めて有給休暇を消化させるように指定することができます。
私の体験談(有給休暇について)
私が施設に勤めていた頃は、特別な用事(急病・慶弔・子供の行事)以外には、なかなか有給休暇はとれないものでした。誰か1人でも、休んで欠員がでると「他の職員に負担がかかり迷惑になる」という気持ちが強く、また施設の雰囲気は「有給休暇をとると昇給に響く」という風潮でした。
また、事業所自体もできるだけ「特別な用事がない限り休まないように」と、日頃からいっていました。そのような環境でしたので、自然と休むことが「悪いこと」という風に思っている職員が多くいました。しかし、急病や急用で休むのは仕方のない事です。
私も中間管理職として介護職員を管理していたのですが、誰かが急用で数名の欠員がでた場合は、私もサポートで入りました。
皆、協力的で文句ひとつ言わずに、「急病や急用はお互い様」という連帯感があり、足りない職員の人数を職員全体がカバーして、業務を上手く連携してこなしていました。
私の勤めた介護施設はその点では、有給休暇が取りやすい環境であったと思います。
- ■まとめ
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今回の有給休暇の改正では、年次有給休暇を年5日以上の取得が義務付けられました。
人手不足が慢性的に問題化している介護業界ではありますが、計画的に有給休暇を取得できるよう上司が促したり、職場全体で有給休暇がとりやすい環境づくりをすることで、人材定着にもつながることでしょう。