No.182 介護士の基本業務は声かけから
介護士の基本業務は「声かけ」からスタートします。仕事内容は日常生活の介助も大切になりますが、その中には必ず声かけが入ります。声かけで何をするのかを利用者に伝える事により、利用者は安心して介護を受ける事ができるのです。今回は、声かけのポイントについて見ていきましょう。
声かけの重要性
声かけがなぜ重要なのでしょうか。介護現場では、利用者と信頼関係を築く上でコミュニケーションはとても大切になります。ですが、話をする事や聞く事だけがコミュニケーションというわけではありません。普段から利用者と接する際の「声かけ」もコミュニケーションのひとつなのです。
声かけには「行動内容に対して指示する」事と、「心理面をサポート(支援)する」事にわける事ができます。その役割には「何を行えば良いのか」を明確にする事や「心を整える」効果があるわけです。利用者だけでなく、介護職員が安全でスムーズに仕事を進めるためにも重要になってきます。
声かけで注意するポイント
- ●言葉遣い
- 言葉遣いひとつで信頼を失ってしまう事があります。利用者へは丁寧な言葉を使う事が基本です。利用者との関係性によっては、他人行儀を好まない方もいらっしゃいます。どちらにしても、言葉遣いには注意が必要です。相手の方を不快な思いにさせないように言葉選びは充分に気を付けていきましょう。
- ●抑揚
- 話すスピードやイントネーションには注意が必要です。早口やきつい口調で声かけすると、いい気分にはなりません。また、高齢者の方は耳が遠い方が多くいらっしゃいます。ボソボソとした話し声は聞き取りづらくなるでしょう。落ち着いた口調で、少し大きめの声を意識し、ハキハキと話しましょう。
- ●表情
- 表情は口角を上げて、明るく笑顔で声かけするようにしましょう。固い表情で話しかけると相手も緊張してしまい、不安を与えてしまいます。
- ●ジェスチャー
- ジェスチャーとは何かを伝えるためにする身振り手振りの事です。表情や目線、動作を使い、言葉では伝えきれない部分を補う事ができます。しかし、多用した大きな身振り手振りでは相手に圧迫感を与えてしまう事もあるので乱用しない様にします。
- ●相手の特質に配慮した声かけ
- 利用者の中には、大きな声で話しかけられる事が苦手で不安を覚える方もいらっしゃいます。また、障害を持った方もいらっしゃるでしょう。
- 例えば、視覚障害者の方に声かけをする場合、突然後ろから声をかけると、びっくりさせてしまいます。ここでの正解は、正面に立ち、話すスピードはゆっくり、はっきりと伝える事です。それぞれ相手の特性を理解し、個々に合わせた声かけが大切になってきます。
介護現場で意識する言葉遣い
良い人間関係を確立するためには、普段からの態度や話し方が重要です。安心感を与える話し方には、いくつかポイントがありますのでご紹介していきます。
- ●相手を敬う気持ちを持つ
- 介護現場での利用者は人生の先輩である方がほとんどです。相手を敬う気持ちや不機嫌にさせない言葉を使うように気を付けましょう。
- ●上から目線の言葉遣いをしてはいけない
- 悪い印象を与えてしまうので、利用者への上から目線の言葉遣いは絶対に避けてください。
- ●クッション言葉を取り入れる
- 伝える言葉がきつく感じる場合は、「恐れ入りますが」などのクッション言葉を用いて柔らかい表現に置き換えます。
- ●利用者の行動を制限する言葉は避ける
- 「~してはダメです」などといった利用者の活動を制約する言い方は避けましょう。「~してもらえますか?」といった依頼する伝え方や、「いかがなされましたか?」と行動の理由や原因を確認すると良いでしょう。
- ●ご家族や利用者を不快にさせない
- 言葉遣いが失礼であれば利用者を傷つけてしまい、その事がクレームにもつながります。
- ■まとめ
- 介護業務の基本は「声かけ」です。積極的に利用者に声かけを行う事で信頼関係をつくり、頼られる介護士になりましょう。また、言葉遣いは意識しながら使わないと、悪気がなくとも相手を傷つけてしまう事もあるので、日頃から気を付けていきましょう。