No.167 介護士に対するパワハラ
介護の現場で働く介護士へのパワハラ(パワーハラスメント)が問題となっています。パワハラにはどの様な物があるのでしょうか?そして、起こってしまったパワハラにはどの様に対処すべきなのでしょうか?具体的に解説します。
パワハラとは何か?
厚生労働省によると、パワハラとは以下の様に定義されています。
”職権などのパワーを背景にして、本来の業務の範疇を超えて、継続的に人格と尊厳を侵害する言動を行い、就業者の働く関係を悪化させ、あるいは雇用不安を与える事をいいます。”
一言で言うと、パワハラとは職権を使ったいやがらせ行為の事です。
パワハラにはどの様な物があるか?
- 1.身体的な攻撃
- 直接、体をたたいたり、蹴ったり、物を投げつける行為がこれに該当します。体にあてなくても、足元に物を投げつける、壁を殴る、という行為もこれに該当します。
- 2.精神的な攻撃
- ミスをした職員に対して、他の職員や利用者の前で、大声で怒鳴ったり、暴言を吐いたりする行為がこれに該当します。
- 3.過大な要求
- 慢性的な人手不足の続く職場環境で起こり易いのが”過大な要求”です。どんなに努力しても到底、業務時間内に終える事の出来ない量の仕事を押し付けるなどの行為がこれに該当します。被害者は体力的、精神的ダメージを受けます。
- 4.過小な要求
- ”なにもしなくていい”、”自分がやるからどいてて”などと言って仕事をさせない行為がこれに該当します。被害者は精神的ダメージを受けます。
- 5.人間関係からの切り離し
- 挨拶を無視したり、特定の人にだけ、申し送りをしなかったりする等の行為がこれに該当します。特に、申し送りをしないという行為は、大きな事故やミスに繋がり易い問題行為と言えます。
- 6.個の侵害
- 仕事をする上では必要のない、個人的な事まで聞き出そうとする行為が、”個の侵害”と呼ばれる行為です。話したくない内容のプライベートな事を執拗に聞く行為、シフト希望や有休申請の理由を必要以上に聞いてくる行為もこれに該当します。
- 他にも、職員個人のやっているSNSをチェックしたり、友達申請をしたりしてくるというケースも、された側が不快に感じていれば、個の侵害に該当します。
パワハラ被害に遭った場合の対処法は?
残念な事ですが、パワハラはあらゆる職場に存在しており、介護職の現場も例外ではありません。では、あなたが実際にパワハラ被害に遭った場合にはどの様に対処するべきなのでしょうか?順番に解説します。
- ◎記録を付ける
- パワハラをされたら、その日時と場所・誰に・どの様な事を言われたりされたりしたのかを日記やメモに記録してください。いざという時は証拠として使う事が出来ます。また、可能であればスマートフォンやICレコーダーを使って、その様子を記録する様に努めましょう。裁判の際に有力な証拠となります。
- ◎同じ被害に遭っている同僚と情報交換する
- 職権を乱用して部下や同僚にパワハラを行う人がいる職場には、あなた以外にも被害に遭っている人が居るかも知れません。その人たちに声を掛けて、お互いに励ましあい、情報交換するのも有効な対処法です。自分一人で抱えているより、精神的にも楽になります。
- ◎パワハラ加害者の上司に相談してみる
- 先輩からパワハラを受けているのならあなたと共通の上司に、上司からパワハラを受けているのなら、そのパワハラ上司の上司に当たる人に打ち明けてみましょう。この時には先述の、同じ被害に遭っている仲間も一緒に話し合いの場に居てもらうと話し易くなるでしょう。また、相談の内容も記録に残す、可能であれば録音する事を忘れずに行いましょう。
- ◎社内にある担当窓口に相談する。
- ある程度の規模の大きな会社であれば、社内のパワハラ(セクハラ)担当窓口を設けている場合もあります。これまで受けたパワハラ被害の記録を持って相談してみる事で解決の糸口が見つかる場合もあります。
- ◎外部の機関に頼る
- 社内で解決する事が出来ない場合には、外部の機関の力を借りる事も検討しましょう。
- ●総合労働相談センター
- 各都道府県にある相談窓口です。専門の相談員と電話や面談で相談する事が出来ます。
- ●労働基準監督署
- パワハラ被害を訴えている人から相談を受けると、問題の会社を視察したり、会社の代表に対して調査をしたりします。結果を受けて是正勧告をする場合もあります
- ●かいけつサポート
- 法務省の設けている窓口です。極力、当事者間の話し合いで解決を目指したい方に向いていると言えます。
- ●法テラス
- 相談ではなく、法的手段での解決を考えている方向けの相談機関です。法的な情報の提供を行ってくれます。
- ■まとめ
- 今回は、介護の現場でも起こっているパワハラ問題に焦点を当ててお伝えしました。この記事が少しでも解決の糸口になれば幸いです。