No.166 介護士と認知症介護~対応の仕方と役立つ資格について~
介護士として認知症介護に携わる場合、どのような対応をするべきなのでしょうか。認知症介護に役立つ資格などについて簡単にご紹介します。認知症の症状や、種類などについても併せて見ていきましょう。
認知症について
認知症は、記憶・思考・判断・学習などの認知機能が低下して日常生活が困難になる状態のことです。認知症は、何らかの病気により脳の神経細胞が壊れて働きが悪くなることで発症します。認知症の症状は、主に中核症状と周辺症状になります。
中核症状は、脳の神経細胞が壊れて認知機能が低下することで現れます。記憶障害・名前などが分からない見当識障害・判断力や理解力の低下など、症状はさまざまです。一方、周辺症状は中核症状に本人の性格や周りの環境などが関係して現れます。
抑うつ・妄想・幻覚・暴力・徘徊など、周辺症状では心理症状と行動症状の二つが現れます。日本では代表的な認知症として、アルツハイマー型認知症・レビー小体型認知症・脳血管性認知症・前頭側頭型認知症の4つが挙げられています。
日本では、アルツハイマー型認知症の割合が最も多いとされています。
認知症高齢者の介護に役立つ資格について
認知症介護に関する資格として、認知症介護基礎研修・認知症介護実践者研修・認知症介護実践リーダー研修などがあります。認知症介護基礎研修は初任者向けとなっており、認知症介護における基本的な知識やスキルを身につけることができます。
この研修は、2021年4月から訪問系サービスなどを除いた全ての無資格介護職員へ受講が義務化されています。また、資格とは異なりますが、認知症サポーター養成講座の受講も認知症介護に役立ちます。
認知症サポーターとは、認知症に対する理解や正しい知識を得たうえで認知症高齢者やその家族のサポートをすることです。誰でも受講可能なため、認知症介護に携わる機会のある方などは受講を検討してみましょう。
認知症高齢者へ接する際の対応方法と気をつけること
認知症高齢者の介護をする場合、下記のようなことを意識して接しましょう。
- 記憶障害により何度も同じことを聞かれる場合、叱るのではなくその都度同じように対応する
- 食事をしたことを忘れて「お腹が空いた」と言っている場合などは、話題・場所を移動する・テレビをつけるなどして他のことへ気が向くようにする
- 徘徊症状が心配される場合、万が一に備えて本人が身に着けている衣服などに名前を記載しておく
- 物を盗まれたと思い込んでいる場合は、時間をかけて一緒に探して本人が見つけられるように誘導する
- 不眠の場合、昼間の活動量を増やすなど夜ぐっすり眠れる環境づくりを心がける
認知症高齢者に接する際は感謝の言葉を伝える・褒める・共感するなど、本人に寄り添ってケアを行うことが大切です。また、本人が安心できる環境づくりを心がけることで、認知症の周辺症状を軽くできる可能性があります。
- ■まとめ
- 今回は、認知症介護についてご紹介しました。介護士として認知症介護に携わっている方は、認知症高齢者本人が安心できる接し方や対応を心がけましょう。また、自身のスキルアップやより良いケアを行うために、資格を取得することも検討してみましょう。