No.111 介護士不足と行政の人材確保対策!
現在の日本は、超高齢社会に向かってこのまま高齢化が進むと将来を不安がる若者も少なくありません。核家族の増加や生涯独身率も高まってこの先心配されるのが介護士不足ではないでしょうか。一人ひとりの介護負担が増えると介護職を懸念する人が多くなり、益々介護士不足は深刻な問題となります。今回は、介護士の人材不足について調べていきましょう。
介護業界の人材不足と年齢
介護業界の労働環境は需要より供給が不足しており、飲食店など多くの業界で深刻な人材不足が続き特に介護業界の運営続行が困難な介護施設や事業所が増えています。介護業界の年代層は、40歳以上45歳未満:14%を占めて次に45歳以上50未満と、介護業界全体の平均年齢は45.9歳になっています。
- ◎離職率と職業職種別賃金構造
- 平成29年(2017年)度の介護職の求人倍率は、55.2%不足して採用困難は88.5%と人材確保が難しいなど介護職員の離職率が高くなっています。
離職理由として職場の人間関係:20.0%、事業所への不満:17.8%、収入が少ない:15.0%などの割合です。更に収入が少ないに関しての職業別平均賃金は、医療業:34万9,300円、サービス業:42万600円、介護業界:24万9,800円の賃金が他の職業よりも低いホームヘルパー、福祉施設介護員など介護職員の給与額が低い状況が見られます。介護人材確保に向けて介護職給与の改善手立てとして行政では、介護職員の処遇改善と収入加算の実施・見直しを図っています。 - ○職業職種別平均賃金(男女)
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- 産業計
平均年齢:42.5(歳)、勤続年数:12.1(年)、支給給与額:333.8(千円) - 医療業
平均年齢:40.5(歳)、勤続年数:9.1(年)、支給給与額:349.3(千円) - 介護事業
平均年齢:42.3(歳)、勤続年数:7.6(年)、支給給与額:249.8(千円) - サービス業
平均年齢:41.0(歳)、勤続年数:9.5(年)、支給給与額:420.6(千円) - 医師
平均年齢:42.1(歳)、勤続年数:5.3(年)、支給給与額:952.0(千円) - 看護師
平均年齢:39.3(歳)、勤続年数:7.9(年)、支給給与額:331.9(千円) - 准看護師
平均年齢:49.0(歳)、勤続年数:11.6(年)、支給給与額:283.3(千円) - 理学療法士、作業療法士
平均年齢:32.7(歳)、勤続年数:5.7(年)、支給給与額:284.1(千円) - 保育士
平均年齢:35.8(歳)、勤続年数:7.7(年)、支給給与額:229.9(千円) - ケアマネジャー
平均年齢:48.0(歳)、勤続年数:8.7(年)、支給給与額:265.3(千円) - ホームヘルパー
平均年齢:46.9(歳)、勤続年数:6.6(年)、支給給与額:236.5(千円) - 福祉施設介護員
平均年齢:40.8(歳)、勤続年数:6.4(年)、支給給与額:233.6(千円)
- 産業計
介護人材確保への対策
介護人材確保に介護職員の労働環境と処遇改善、資質向上の施策をしています。
- ○厚生労働省の施策活用
- 厚生労働省は、再就職準備金貸付制度として介護職を離職した人が次の就職に必要な準備資金(20万円限度)を貸して、ある程度期間の条件を満たして働けば、返済を免除することができる政策や介護福祉士を目指す学生が5年間勤務すれば、学費の返済免除がされる修学資金貸付制度などを設けています。
- ○経験豊富な介護人材登用や学生の促進
- 経験豊富な中高年齢者登用や介護福祉士を目指す学生を増やすなど介護人材の促進を図ることが必要です。
- ○介護職員の労働環境や処遇改善
- 介護職員処遇改善・給料考慮、労働環境の整備・改善が必要で資格取得支援や離職介護経験者の復職や研修の機会を設けるなどキャリアパスの構築推進、環境を整え保育施設や託児所の施設を設立するなど働く女性に配慮した対策が必要です。
- ○介護職員の資質向上
- 介護福祉士の資格取得方法としてマネジメントやケアに関する研修の受講を支援し、専門性を高くして継続的に質の向上を促し、能力や役割分担を有効活用することを検討しています。
- ■まとめ
- 高齢社会の現代は介護人材の確保が重要な課題となっています。私たちは、いずれ介護する側やされる立場になりますので、気持ちよく老後を迎える世の中になる為に、国は来る2025年に向けて介護人材確保対策を最大限行い介護士や各事業所が働く環境や労働条件の改善、給与面の改善などに取り組んでいます。