No.86 介護の等級~要介護認定のための判断基準~
介護を受けている人たちの症状にも軽度の状態から重度の状態まで様々あります。「要介護認定」は、介護を必要とする度合いに応じて分けられます。今回は、介護の等級について説明していきましょう。
介護等級って何?
「介護保険制度」では、寝たきりや認知症などで常に介護を必要とする状態になった場合や、家事や身支度などの日常生活に支援が必要となった状態の場合に、介護サービスを受けることができます。
「要介護状態」に該当するかどうかは、保険者である市町村の介護認定審査会にて決まります。また、「要介護認定」は介護サービスの給付額に結びつくことから、その基準について全国一律に客観的に定められています。
介護認定審査会の判定基準について
介護認定審査会が各市町村ごとにありますが、判定基準について見ていきましょう。
【非該当(自立)】
歩行や起き上がりなどの動作を自身で行うことが可能であり、薬の内服や電話の利用などの手段的日常生活動作を行う能力もある状態。
【要支援 1】
「食事・入浴・衣服の着脱・排泄・移動」など基本的な日常生活の動作のほとんどは、自身で出来ますが、介護予防のために何らかの支援が必要な状態。
【要支援 2】
見だしなみや居室の掃除などの身の回りの世話に何らかの介助(見守りや手助け)を必要としたり、立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作に何らかの支えを必要とする場合や、歩行や両足での立位保持などの移動の動作に何らかの支えを必要とすることがあるなど、排泄や食事はほとんど自分ひとりでできる。
【要介護 1】
身の回りのことは自分でほとんど出来るが、「要支援 2」よりも運動機能や認知機能、思考力や理解力が低下しており、部分的に介護が必要とされる状態。
【要介護 2】
「要介護1」よりも理解力、日常生活能力の低下が見られ、食事や排泄など身の回りのことも介護が必要とされる状態。
【要介護 3】
自分で食事や排泄など出来なくなり、全面的に介護が必要な状態で、立ったり歩いたりなど、移動の動作が自分で出来ないことがある。
【要介護 4】
自分の身の回りのことや、排泄がほとんど出来ない。移動の動作が自分1人では出来ないなど、日常生活全般に介護が必要な状態。問題行動や理解の低下が見られることがある。
【要介護 5】
最重度の介護を要する状態。「身の回りの世話・複雑な動作・移動の動作・排泄や食事」がほとんどできない。1人で日常生活を送ることがほぼできないため、あらゆる場面で介護が必要。多くの問題行動や全般的な理解の低下などがあり、意思の疎通も困難な状態。
- ■まとめ
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要介護認定のための調査が行われていても、最近ではご本人や家族の予想よりも低い判定を受けることがあるようです。増え続ける高齢者に対して、介護保険の費用抑制のため、判定基準自体が厳しくなっていることが原因となっているようです。