No.84 介護のレベルについて
介護の業界でレベルという言葉を使うとき、一般的に次の2つのことを指す場合が多いようです。1つは「要介護度レベル」のことで、もう1つは「認知症レベル」のことです。では、「要介護度レベル」とは何か?「認知症レベル」とは何か?1つずつ説明していきたいと思います。
要介護度レベルとは?
人は誰しも歳を取ります。次第に気になってくるのが親や親族の「介護問題」。巷には、介護サービスを提供してくれる施設があちらこちらにあります。しかし、この介護サービスを利用するには「要介護認定」というものを受け、「要介護度レベル」が確定しないと利用することができないのです。
「要介護度レベル」とは、介護サービスを利用したい人が日常の生活の中でどの程度のことが出来て、何が出来ないのかというレベルを7段階に分けたものです。それが「要支援1~2、要介護1~5」の7段階です。
【要支援1】
日常生活はほぼ自立。要介護の状態になるのを予防するための支援が必要。
【要支援2】
日常生活にやや支援が必要。要介護の状態ほどではない。改善の余地あり。
【要介護1】
立ち上がり時、歩行時に不安定さあり。日常生活に一部介助が必要。
【要介護2】
立ち上がり時、歩行時、一部介助が必要。排泄時、入浴時、一部介助が必要。
【要介護3】
立ち上がり時、歩行時、排泄時、入浴時、多くの介助が必要。
【要介護4】
日常生活の全般にわたって動作能力低下。介助なしでは生活困難。
【要介護5】
生活全般に全介助が必要。介助なしの日常生活はほぼ不可能。
「要介護度レベル」を確定させることは、介護支援計画を作る上で必要なものですし、また、介護保険の支給額もこの「要介護度レベルで」決まります。「要介護度レベル」はサービスを提供する側、サービスを受ける側、双方にとって重要な意味を持つものだと言えるでしょう。
認知症レベルとは?
「要介護度レベル」を確定するには身体的な面だけでなく、「認知症レベル(日常生活自立度)」も基準になっています。大きく分けて7段階に分けられています。
【認知症レベルⅠ】
いくらかの認知症はみられるも、日常の生活は家庭内外共にほぼ自立している。
【認知症レベルⅡa】
主に家庭外で日常生活に支障が出るような症状・行動、意思疎通の困難さが多少見られる。周りの者が注意していれば自立できる。道に迷ったり金銭管理が出来なくなったり等。
【認知症レベルⅡb】
主に家庭内で日常生活に支障が出るような症状・行動、意思疎通の困難さが多少見られる。周りの者が注意していれば自立できる。服薬管理、電話対応、訪問者の対応が出来ない等。
【認知症レベルⅢa】
主に日中に日常生活に支障が出るような症状・行動、意思疎通の困難さが時々見られ介護が必要。
【認知症レベルⅢb】
主に夜間に日常生活に支障が出るような症状・行動、意思疎通の困難さが時々見られ介護が必要。
【認知症レベルⅣ】
日常生活に支障が出るような症状・行動、意思疎通の困難さが頻繁に見られ常に介護が必要。
【認知症レベルⅯ】
著しい精神症状や問題行動または深刻な身体疾患が見られ専門医療を必要とする。
- ■まとめ
-
要介護度のレベル、認知症のレベル、2つのことを説明してきましたが、介護が必要な方というのは身体的な部分又は精神的な部分、あるいはその両方と人によって支援する部分は様々です。「要介護度レベル」、「認知症レベル」は、介護サービスを受ける人の色々な面をカバーし、より良い支援を行うのに重要な役割を果たしていると言えるでしょう。