No.8 高齢者の好む話題とは?
高齢者と話がするのが好きという理由から、介護士の仕事を選んだ方も多いのではないでしょうか。では介護の現場で高齢者とどんな話題の話をしているのか、また、どのような話題が喜ばれるのでしょうか。介護福祉士として介護施設で10年余り勤めていた私の経験も交えて解説したいと思います。
高齢者の喜ぶ話題とは?
現在の男性高齢者ですと人生の半分を仕事に費やしてきた仕事一筋の方が多いので、その体験談や仕事の話を聞いてあげるだけでも本人は、いきいきと目を輝かせて話をしてくれることでしょう。
女性ですと、これまでに子育てを経験した方が多いので子供の話をすると喜んで話をしてもらえます。その他料理などを話題にするのもよいでしょう。しかし、ここで注意して欲しいことは、女性の場合、誰でも出産や育児を経験しているわけではないので、その方の生活歴などを把握していることが大切です。
楽しい思い出より苦しい思い出が記憶に残っていることが多い
色々な場面で高齢者と話をして、まず、話されるのが、子育てが大変であったこと、次に戦争経験者でしたら終戦直後の食糧不足に苦労したことなどが話題に上がってきます。長期記憶としては、楽しかった記憶よりも苦労話や辛かった体験のほうが頭の中に記憶として残ることが多いのでしょう。
高齢者と話をする時に大事なこと
- ◎傾聴が大事
- 高齢者は、これまでに色々な体験をしてきていますので、私たちが経験していな色々なことを学んできています。また、現在の社会では、考えもつかない出来事やためになることを豊富に経験してきていますので、話を聞くことで、これからの人生の道しるべになったり、時には、悩み相談をすることもよいでしょう。
- ◎相手の話をできるだけ否定しない
- 特に認知症の方の会話では、短期記憶(今日の話)を覚えていることや理解することが難しくなります。
長期記憶(昔の記憶)などは、割と覚えているものです。このため、自身の子供が50代になっていても、小学生の頃の記憶しかなく、それを基に話をすることが多くあります。本人の頭の中では、まだ小学生の子供として話をします。
また、時には認知症をごまかす行為として、とっさに作話(作り話)などを話すこともあります。そのような時は、否定的な会話はせず、肯定的な会話をしましょう。そうすることで相手も安心感をもって話をしてくれるものです。
- 相手に尊厳をもって話をする
- 私が勤めていた施設での話ですが、認知症の利用者で、仮に相手が学校の先生や医者をしていた場合、その方を〇〇〇さんと氏名で呼ぶと、機嫌を害してしまいます。
〇〇〇先生と呼ぶとたちまち笑顔で返事をしてくれます。昔、先生は皆から一目置かれた存在でしたので、高齢になっても先生は先生なのですね。