No.63 介護動作で見る起こし方の基本
ベッドから起こす移乗動作は体格が大きい方や麻痺がある場合は、新人の介助者にとってかなり難しい介助の一つです。移乗動作の基本を知り、安全な介助方法を解説していきましょう。
ベッドからの起き上がり動作・起こし方の基本動作について解説
①利用者さんの膝を立てて、寝返りがしやすいようにします。
②利用者さんの膝と肩に手をあて、横向きにします。その時介助される人に腕を組んでもらうように声掛けすると安全で重心移動が容易に出来ます。
③利用者さんの体は、寝た状態で利用者さんの首の下から手を回し肩に手をあて、膝に手を添えながら両足をベッドから下ろします。
④利用者さんの体を手前に引き寄せ介助者との距離を近付けて起こします。その時、柵を掴むのが可能でしたら声掛けして一緒に起き上がりの介助をしてもらいましょう。
⑤利用者さんがベッドから起き上がったら、介助者は利用者が転倒や転落に注意して利用者さんの体に手をあてて体を安定させましょう。
移乗介助の基本・ボディメカニクスを習得しょう!
ボディメカニクスとは、介助をする際「支点・力点・作用点」の原理を利用して、小さな力を大きな力に変えることで、介護の現場ではさまざまな介助(移乗・歩行・体位変換)が行われています。ボディメカニクスを習得することで、利用者さんも介助者、お互いに負担なく安心・安全に介助することが出来ます。
移乗介助に苦労した新人の頃【経験談】
介護施設に勤めていた新人の頃、多くの人と同じように私も「移乗介助」が苦手でした。自立している方でしたら、声掛けだけで自力で起きてくれます。片麻痺の方ですと半介助で良いのですが、四肢麻痺の方の場合、私たちの施設では2名で介助を行うようにスタッフミーティングで決まっていました。
それは1名で介助することで、転落事故やケガ・骨折のリスクを減らす対策でした。移乗介助に限らず、他の介助方法でも安全が優先されなければいけません。常に不安がある介助方法は、スタッフ皆で検討してから行う事を心掛けて、介護全般をしてきました。
ベテランになってもそれは変わることなく新人にも同じように指導しました。
慣れてくると、気が緩んでついつい要領やコツを覚えて一人で出来るという自信から介助しがちですが、せっかく良い介護をしていても、利用者にケガや事故などがあると施設全体の安全性に繋がりますので常に緊張感を持って介助にあたることが良いでしょう。
- ■まとめ
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要介護者のベッドなどからの起こし方の基本は、出来るだけ本人の身体的機能(残存機能)を利用して移乗動作を行うことです。また、ボディメカニクスを使うことで介護者も利用者さんにも負担なくベッドから起こす移乗介助をすることが出来ます。
重要なことは、起こし方の基本を押さえ安全第一を重視した介助を行うことでしょう。