No.46 介護現場で大切なチームケア ~事例を通して考える~
介護の現場や医療機関などで、医師や看護師・介護士・理学療法士・介護支援専門員などの専門職が連携して、介護や病気の治療にあたることを「他職間で行うチームケア」と呼んでいます。
今回は、施設利用者の事例を通してチームケアについて考察してみましょう。
入浴拒否の事例
女性利用者Aさんは極度の認知症があり、普段話をする時は穏やかで温厚な性格、レクレーションなどの集団活動にも積極的に参加する。しかし、入浴時には介護拒否が強くあり、介護者に手をだすこともあり、介助は2名で同性介護をしている。
- ◎なぜ、介助に拒否するのかを考える
- 体調が悪い
- 気分がすぐれない
- 入浴するのが億劫
- 裸になるのが嫌
- 裸になるのが恥ずかしい
- 誰かに見られるのが不安(介助者や他の利用者)
- 服を盗まれるのが心配
- 認知症のため入浴することが理解できない
- 入浴することで何かされるのではとの不安
- ◎介護拒否への対応策
- 介護士以外にも、看護師・生活相談員などの多職種で、グループ―ワークを行って「入浴拒否」をする理由などを考えながら、「どうしたら入浴してもらえるか」を討論して、対応策を考える必要があります。
それが「チームケア」であり、他職種の情報や意見も重要です。グループワークで検討したことは、介護士その他の多職種で情報共有して、介助に繋げることが重要です。下記に対応策を紹介しましょう。
- ポイント1
- あくまでも利用者本人の意思を尊重しよう。
- ポイント2
- 利用者の気分の良いタイミングで入浴へ誘導する。
- ポイント3
- 入浴拒否が強い利用者に対しては、足浴から試みてみる。
事例から学んだこと
入浴介助をする際には、すべてのケアスタッフが利用者の状態をよく理解して、その時の気分や状態に合わせて、共通理解を持って対応をすることが大切です。
入浴介助は集団で行いがちで業務を優先するあまり、入浴拒否している利用者に対しては無理強いしてしまうことがあるので、拒否している際は、時間をおいてから個別で入浴することも大切です。
チームケアはなぜ必要なの?
介護現場での認知症の対応には、介護士同士のチームケア、またそれ以外の多職種を含めたチームケアが、認知症利用者の介助や支援をする時には大切です。
その人、本人に合った個別のケアや集団でのケアをするうえで、情報共有や連携は欠かせません。どうしたら良いケアができるか、みんなで考えて、共通認識で介護することが重要です。
- ■まとめ
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認知症の利用者に対する、入浴拒否と言う問題についてみてきましたが、いかがでしたか?
大事なポイントは、入浴拒否をする理由や対策をグループワークなどで他職種の職員と考えながら、一緒に協労していくことが認知症や他の利用者の介助には重要となります。