No.44 介護現場での事故報告書の書き方
介護事業所において、サービス提供中に事故が発生した場合、所在する市町村へ報告する義務があります。今回は、私が経験した事故事例も交えて、事故報告書の書き方について解説しましょう。
事故を起こさないためにはヒヤリハット報告書が重要
最近では、どの企業でも注目されてきた「ヒヤリハット」ですが、事故にはならなかったものの、一歩間違えば事故につながる恐れがある行動や介助方法を「ヒヤリハット」といいます。
介護現場では、未然に事故を防止するためのリスク管理をするために、ヒヤリハット報告書を提出して、その事例を他職種も含めたスタッフで「どの様にしたら事故が起きないか」などの対策方法を検討して、それを全員で共有し今後の介助に繋げます。
もしも事故が起きてしまった場合、事故報告書は市町村などの行政機関に提出しますが、行政側は事故に対して、適切な対応や再発予防策が行われているのかをチェックし検証します。
事故報告書に、実際に起きた事故の内容や対応を正確に書くことも大事ですが、毎日のケース記録や看護記録にも必ず書きましょう。
記録の書き方のポイント
事故報告書の書き方は、基本である「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「なぜ」「どの様に」に従って、自分の主観を入れずに「見たままを客観的に書く」「できるだけ短く」書くことが大事です。
報告書は、事業所の職員だけでなく家族や行政の方も見ますので、理解できるように書かなければいけません。また、分かりづらい専門用語などは、使わないようにしましょう。
体験事例からみた報告書の書き方
私が施設で勤務していたころに、事故が起きた時の体験を参考に事例を書いて、報告書の書き方を紹介しましょう。
◎事例
夜勤帯で定期的に巡回していると、トイレの中で「うーうー」という声が聞こえたので、トイレに行ってみると便器の前で倒れているAさんを発見した。直ぐにナースコールを押して看護師を呼んだ。車イスにはブレーキがかかっていない、その間、利用者に声掛けして状態確認をする。しばらくすると看護師が来て、バイタルチェックやケガなどないか確認する。
トイレが済んで立ち上がり、車いすに座ろうとしたが滑り落ち、車イスのブレーキの掛け忘れが転倒したことが原因と思われる(推測)
本人から聞くことができない場合、このような推測などの主観は、最後に書くとよいでしょう。
◎報告書の書き方の例
【いつ】夜間2時の定期巡回で
【どこで】トイレの便器前
【どのように】横向きに倒れている
【だれ】利用者Aさんを発見する
【なにをした】直ぐにナースコールで看護師を呼ぶ、その間、利用者Aさんに声掛けし状態観察する。看護師にてバイタルチェックと全身の状態観察をする。バイタルサイン測定異状なし、特に目立った外傷なし。
※ありのまま見たままを客観的に書くのがポイントです。
- ■まとめ
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介護事業所において、日々の介助中での「ヒヤリハット」について話し合うことは、事故の予防策やリスクを回避するために、介護職員だけでなく全職員が共通理解を持って、できるだけ重大事故につながらないようにしたいものです。