No.35 介護の面から考える2025年問題
皆さんは、介護の2025年問題についてご存知でしょうか?「どんな問題なの?」と思っている方のために、今回は2025年問題について詳しく解説してみたいと思います。
高齢化の日本の現状
国連や世界保健機構(WHO)の定義では、日本の総人口に対して65歳以上の高齢者が占める割合を高齢率と呼んでいます。高齢化率が7%を超えると「高齢化社会」、14%を超えると「高齢社会」、21%を超えると「超高齢化社会」と呼びます。
日本は、2017年の統計では総人口1憶2.671万人、高齢者数3.515万人、高齢化率27.7%となっています。日本は、1995年に高齢化になり2010年には、超高齢化に突入しました。もはや日本は、世界でも例のない速さで超高齢化が進行しています。
団塊の世代が急増する2025年問題
厚生労働省の試算では、団塊の世代と呼ばれている1947年~1949年・第1次ベビーブームに生まれた人が、すべて75歳(後期高齢者)となる2025年には、日本の総人口の18%を占めるようになります。
また、65歳以上の高齢者も含めると実に総人口の30%を超えます。これは、約3人に1人が高齢者ということになります。それに伴い、認知症患者数は約700万人になり、5人に1人が認知症となると試算されています。
高齢者や認知症患者が、あまりにも急激に増加することで様々な問題が起きてきます。この問題は2025年問題と呼ばれています。
では、2025年問題で起きると推測される課題を下記でみてみましょう。
介護職員が大幅に不足する
2017年時点で、介護職員が約12万人不足しています。このままの推計で行くと2025年には、37万人が不足するとの予測がされています。
介護職員の離職率の高さや勤続年数が、約5年と短く長続きしないのが原因ですが、それ以外にも介護現場の労働の環境改善や処遇改善、人材についても政府は,これまでにいろいろ対策を講じてきました。
例えば、2019年4月には、入管法を改正して、外国人を日本に介護職員として招き入れる「特定技能在留資格」が、これまでの3年から5年に延長できる法律が成立しました。
また、処遇改善策では2019年10月には、10年勤続の優秀な介護福祉士に対して、月額8万円の給料への上乗せが決定しています。
また、介護職の人材確保のための対策として、潜在介護士を呼ぶための離職した介護人材の再就職準備金(20万円)を、貸し付ける制度を打ち出しました。これは、貸付金ではありますが、2年間介護の仕事に従事すれば返還しなくていいことになっています。
介護難民が増える
政府は、これまで介護保険改正で施設介護から、在宅介護へのシフトする政策を重点的に行ってきました。2018年の改正でも、要介護にならないように在宅介護でリハビリを行う政策を重点的に行ってきました。介護老人福祉施設(特養)においては、入所基準が要介護3以上になり待機待ちが数百名単位と入所が厳しい現実があります。
したがって施設入所は難しいので、結局のところ在宅サービスを利用せざるを得なくなります。一番の問題は、認知症などで重度介護者が増えて、施設入所が必要になっても入所が困難になることでしょう。
- ■まとめ
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いかがでしたか?あと6年後に迫った2025年問題についてみてきました。
政府もいろいろな国策を講じてきましたが、施策が追い付かないのが現状です。今後も新たな対策が必要になるでしょう。