No.24 介護保険改正で何が変わった?
介護保険がスタートとして19年目になりました。これまで5年に1度の大きな見直しと、3年に1度の小さな改定が行われてきました。
ここでは、介護保険改正の歴史を踏まえて、特に2018年の最新の改正の要点について解説します。
介護保険の誕生した理由
介護保険が誕生した背景には、例えば、脳血管障害や骨折・その他の病気で入院し、その後、病状が安定したにも関わらず「在宅で家族などの介護の担い手がいない」ことが原因です。この入院を余儀なくされることを「社会的入院」といいます。
それらが問題化して、医療費の財源が増大し社会保障費の圧迫につながりました。
それを抑制するため(また今後どんどん進行していくであろう高齢化社会に対応するため)の新たな財源確保のしくみとして、2000年4月「社会全体で高齢者を支えていく制度」=介護保険法がスタートしました。
これまでの大きな改正点
2006年
- 新予防給付が開始し、これまで要支援・要介護1~要介護5からを要支援1と要支援2の7区分に変更となった。
- 地域密着型サービスの創設
- 施設利用者の食費と居住費を自己負担になった。
2012年
- 地域密着サービスに定期巡回・随時対応型訪問介護看護や複合サービスが追加された。
- 実務者研修以上の資格を取得後50時間の講習を受けて介護職員による喀痰吸引や胃ろ う管理の実施が許可された。
2015年
- 特養(介護老人介護施設)入居基準が要介護3以上に変更となった。
- 地域密着サービスを住所地特例者にも認められた。
- 現役並みの所得者の利用者負担が2割負担へ変更となった。
- 小規模デイサービスが地域密着サービスに移行された。
2018年の改正ポイント
〇介護保険サービス利用者負担が所得に応じて1割~3割負担に変更。
〇介護療養型医療施設の廃止が2018年から暫定処置として2033年に変更。
〇介護療養型医療施設から新たに創設された介護医療院への移行。
- 介護医療院Ⅰ型
ターミナルケアや容態が安定していない方や認知症で介護・医療のニーズが高い方が対象となります。 - 介護医療院Ⅱ型
病状が安定していて医療・介護の必要性が低い人が対象となります。
〇共生サービスの創設
障がい者サービスや、障がい者施設を利用している方が「65歳になって介護サービスが必要になる」と、これまで介護保険を優先していましたが、並行してどちらも利用できるようになりました。
〇介護認定有効期限の延長
要介護認定・要支援認定の有効期限が、これまでの24か月から36か月に延長になりました。
〇福祉用具の適正価格の公表
福祉用具貸与サービスや、福祉用具レンタルを事業者間で異なる価格差を適正化するため全国平均価格を公表し提示することが義務づけられました。
今後も変わっていく介護保険
介護保険の見直しをこれまで6度してきましたが、高齢化の進行は予想以上のスピードで進んでいるため、3年に1度の改正が追いつかない状況です。
高度化する介護現場の現状に対応した制度が求められています。