No.196 介護士が行うリスクマネジメントへのアプローチ
介護士は利用者の家族から無理難題を押し付けられることもあるでしょう。また、介護士は利用者から暴言や暴力をから受けることもあるかもしれません。このようなリスクに対処をするために介護現場におけるリスクマネジメントに注目が集まっているのです。
介護現場のリスクマネジメントについて考えよう!
「リスクマネジメント」とは、リスクを組織で管理していき、発生する損失を回避・低減させるための取り組みです。
「介護現場でのリスクマネジメント」とは、事故やトラブルの発生を未然に防ぐことや、発生する被害を最小限に抑えるために行う準備や予測を指しています。
介護現場で起こりがちな事故やトラブルを洗い出し、どのようなタイミングで発生するのか原因を分析すれば、事前に状況を予測し防ぐことが可能となるでしょう。
介護現場でリスクマネジメントは重要!
介護現場でのリスクマネジメントが重要視される理由として挙げられるのが、利用者を命の危険にさらす可能性があるからです。
介護事故に対する訴訟件数も増加傾向にありますが、人手が不足している介護現場では十分なサービスが提供できなくなっていることも原因といえます。
仮に多額の損害賠償金を支払わなければならなくなったとしたら、高額な賠償金負担により事業所は倒産に追い込まれる可能性も出てきてしまいます。
そもそも訴訟問題に発展してしまえば、地域での介護サービス提供事業者としての信頼は失われることが予測されます。そのため適切にリスクマネジメントを行い、利用者だけでなく事業所やスタッフを守ることも必要なのです。
介護現場でのリスクマネジメントのアプローチとは
介護現場でのリスクマネジメントへのアプローチは、利用者の尊厳や安全を守ること、そして介護士や組織を守ることという2つに分けて考えていきましょう。
【利用者の尊厳や安全を守る】
利用者の尊厳や安全を守るためには、例えば利用者が転倒事故を起こさないようにするために、ヒヤリ・ハットの事例を介護スタッフから収集し共有することが必要です。
重大事故につながる可能性のあることを介護スタッフから集め、スタッフ同士で共有することで未然に事故やトラブルを避けることができるでしょう。
【介護士や組織を守る】
介護士や組織が訴えられてしまわないように、万一事故が発生した時には証拠や根拠となる記録を残しておくことが必要といえます。しっかりと日々の介護の記録や事故発生時の状況を証拠として残しておくことが重要となるのです。
単に報告書などの文書を作成すればよいと思うかもしれませんが、現場を写真で残すことや関係者の話を録音するという方法もした方が良いと言えるでしょう。