No.179 介護プロフェッショナルキャリア段位制度を取得するメリット
介護業界の人手不足に伴う労働環境の悪化や離職率の高まりを懸念し、国は「介護プロフェッショナルキャリア段位制度」を発足させました。どういった制度で介護士や事業所にどのような影響があるのでしょうか。解説します。
介護プロフェッショナルキャリア段位制度の目的
多くの介護職員は、仕事内容に合わない賃金の低さ、介護職の社会的な評価の低さ、仕事に追われ適切な介護ができているかなど、様々な不安を抱えています。そのため、他の産業に比べて離職率が高い傾向となりがちです。本制度はこれらの不安を払拭し、介護人材の減少を抑える為に作られました。
介護福祉士や初任者研修などといった研修や資格が存在しますが、これらの資格を持っているからと言って介護現場で実践的に業務ができるとは限りません。学校で学習し知識はあっても経験不足などから、円滑に実践し難い面が生じることも考えられます。
本制度では、現場で使える実践的スキルを習得すると共に、段位という明確な全国基準が設けられる事となります。それによって、職員も事業所も適切な対応・処遇を行いつつ不安を解消していく事が期待できるわけです。
これまでは、介護職員の能力を各事業所で評価していました。そのため、介護職員の評価がバラバラで資格などが評価の対象でしたが、この制度を導入する事により全国一律の基準で評価を得る事ができるようになります。
介護プロフェッショナルキャリア段位制度の評価者「アセッサー」
介護プロフェッショナルキャリア段位制度では知識と実践で評価され、エントリーからプロまで7段階のレベルがあります。現在は4段階までの運用がされています。
この制度では、アセッサーと呼ばれる評価者が置かれる事となります。その立場となるにはレベル4以上、3年以上の実務経験がある介護福祉士であるなど、条件が必要です。アセッサーによる判定の正確性については外部の評価機関によってチェックされ、その二段構えで公平性と正確性が保たれます。
介護士にとってのメリット
- ◎実践での評価が客観的にわかる
- ◎自身ができる事・できない事が明確になるためスキルアップのモチベーションに繋がる
- ◎給与や人員配置など処遇の改善に繋がる
- ◎転職などのアピールポイントになる
事業所にとってのメリット
- ◎熟達者が新人に実務の訓練を行う事ができ能力向上に繋がる
- ◎事業所のサービス水準のアピールに繋がる
- ◎能力の評価を客観的に評価でき、能力が明確になるため適切な配置ができる
- ◎優秀な人材確保や定職率の確保に繋げられる
- ■まとめ
- この制度の最大の特徴は介護士の実践スキルをはっきりさせ、施設・事業所ごとに評価のバラツキがあったものが一律になる為、介護士自身が客観的に評価されるという点です。介護士・事業所双方のメリットも大きく、介護士の不安や高離職率といった難点の払拭に活かせるものと言えます。