No.161 介護士の慰労金5万円とはどの様な制度だったのか
新型コロナの世界的な流行を受け、国は高齢者と介護職員を支援するために慰労金の給付をしました。しかし令和4年3月現在はすでに申請終了となっています。新たに福祉・介護職員処遇改善臨時特例交付金の給付が決まっているため、交付金の概要を中心に解説します。
新型コロナウイルスの慰労金とは何だったのか
新型コロナウイルスの感染拡大に当たり、介護従事者の慰労のために国が給付したお金の事です。陽性者・濃厚接触者の対応に当たった事業所の職員には最大20万円、陽性者・濃厚接触者がいない事業所の職員は5万円が給付されました。
しかし、本制度は令和3年2月28日に申請受付が終了しています。国は新たに令和4年の2月から9月まで「コロナ克服・新時代開拓のための経済政策」として、障害福祉サービス事業所などを対象に賃上げを実施します。収入を3%程度賃上げする事が決まり、職種によって交付率も決まっております。これを福祉・介護職員処遇改善臨時特例交付金と呼びます。
福祉・介護職員処遇改善臨時特例交付金
令和3年11月19日の閣議で決定した福祉・介護職の賃上げを目的とした、国の政策の一種です。条件を満たした福祉・介護職員の給料を3%程度(月額約9000円)賃上げする事で、コロナ克服を目標としています。職種によって交付率が変動するので解説します。
- ◎介護職における交付率(令和4年3月現在)
- 対象サービス区分毎に交付率が設定されており、介護職員の場合は1.1%から3.6%の間となります。厚生労働省が発表している交付率をもとに、下記で詳しいパーセンテージを紹介します。月額平均9000円程度賃上げとなるように調整されています。
- ◯3.6%
- ・居宅介護
- ・重度訪問介護
- ・同行援護
- ・行動援護
- ・重度障害者等包括支援
- ◯2.6%
- ・施設入所支援
- ・短期入所
- ・療養介護
- ◯2.4%
- ・共同生活援助(介護サービス包括型)
- ・共同生活援助(日中サービス支援型)
- ・共同生活援助(外部サービス利用型)
- ◯1.7%
- ・自立訓練(機能訓練)
- ・自立訓練(生活訓練)
- ◯1.1%
- ・生活保護
- ◎取得要件
- どの事業所も給付金を取得できる訳ではなく、2つの取得要件が国から定められています。1つは令和4年の2月中に実際に賃上げしている事です。規則改正等で間に合わない場合は3月中に賃上げしても申請可能となり、賃上げを記載した用紙を都道府県に提出する事で要件を満たす事ができます。
- もう1つの要件として、補助額の2/3以上を職員のベースアップのために使用する事です。賃上げを継続的に行うため、基本給を含めた資格所持手当て等もベースアップの範囲に含まれます。また申請に当たり処遇改善計画書及び実績報告書に「月額の賃金改善額の総額」を記載する必要があります。
- ■まとめ
- パンデミック禍による5万円・20万円の慰労金は終了していますが、新たに福祉・介護職員処遇改善臨時特例交付金が決定しています。感染症による試練が続きますが、この危機を乗り越えるために、受けられる給付金を把握しておく事が大切となります。