No.158 介護士にできることで収入アップにつながるものは何か?
国が認めた、介護士のできること。それは、現場のニーズに応えるだけでなく、収入アップにもつながります。介護士は、どんなことができるのか。そして、職場と介護士双方にどんなメリットがあるのか。できるためにはどんな条件が必要なのか、ご紹介します。
介護現場のニーズ
介護士は、専用の医療器具で鼻・口・気管カニューレから「痰(たん)」をとりだすことができます。これを「喀痰吸引」といいます。このケアは、医療行為です。
なぜ痰をとりだすのかというと、高齢者はせきをして痰を外へ出す力が弱くなるため、介助が必要だからです。
痰は、体内の異物を排出しようとする働きです。これが上手くできないと、肺炎にかかりやすくなってしまいます。高齢者がこの病気にかかると脳卒中・心臓の病気・認知症・糖尿病・足腰の衰えなどのリスクが生じてしまいます。
喀痰吸引は、介護現場で求められているケアです。介護士がこのケアをできることによって、現場での人材不足をおぎなうことができます。
喀痰吸引ができる介護士のメリット
介護士が喀痰吸引ができると、以下のようなメリットを受けることができます。
(1)収入がこれまでよりも多くなる可能性があります。介護職の給与は基本給プラス「資格手当」がつくのがほとんどなので待遇面での変化がみこめます。
(2)介護業務に加え医療ケアも対応できる、貴重な人材となります。それによって、やりがいや自信をもつことができます。
(3)実践的で役立つ資格なので、キャリアアップだけでなく介護の転職にも有利です。
喀痰吸引を介護士ができる条件
介護士が、喀痰吸引を行うためには条件が2つあります。
- ◎条件1 事業所が都道府県にて登録を受けている
- 働いている事業所が都道府県にて登録を受けていなくてはなりません。(医療機関は対象外です。)
- ◎条件2 喀痰吸引の養成課程または研修を受けていること
- 介護士個人の条件としては、平成27年4月以降に養成課程を受けている必要があります。
それ以前の介護士資格保持者は、各県の登録研究機関にて研修を受けることにより「認定特定行為業務従事者認定証」が、交付されます。機関などについては、各県のホームページから確認しましょう。
喀痰吸引ができるためには、喀痰吸引等研修と試験に合格する必要があります。試験に出る内容は、すべて講義内で習うものです。資格取得の難易度は比較的低く、基本的には合格するものといえるでしょう。
資格取得のためには、無資格の場合15万円から20万円の費用が必要となります。そのためぜひ現在の職場に「資格取得支援制度」があるか確認しましょう。費用の負担が軽減される場合もあります。制度がある場合は、積極的に活用しましょう。
- ■まとめ
- ○喀痰吸引ができることで、現場での人材不足をおぎなうことができる。
○収入アップやキャリアアップも見込める。
○喀痰吸引は、事業所が県から登録を受けていることと介護士が資格を取得していることが条件。