No.150 どう影響する?介護プロフェッショナルキャリア段位制度とは
介護士の人手不足や労働環境の悪化に伴う離職率の上昇は、常に危惧されています。そんな中で立ち上がった国のプロジェクト「介護プロフェッショナルキャリア段位制度」は、介護士や施設(事業所)にどう影響するのでしょうか。同制度について簡単に解説します。
介護プロフェッショナルキャリア段位制度とは?
国が掲げた「キャリア段位制度」の中の一つで、成長分野における新しい職業能力を評価する仕組みとなっています。役職などの肩書ではなく、キャリア(経歴・経験)や能力で評価される社会づくりの実現に向けて創設されました。
「介護プロフェッショナルキャリア段位制度」は、「わかる(知識)」と「できる(実践スキル)」の両面が評価されます。認定方法はレベル形式で行われ、エントリーレベルからトップ・プロレベルまで7つの段階があります。現在はレベル4までの運用で認定を行っています。
この制度の特徴は、これまでの資格制度だけでは不足していた実践力(実践的職業能力)に重きを置いていることです。また共通の「ものさし」を作ったことで、施設や事業所ごとにバラつきがあった評価に共通の基準ができたことです。
介護士が認定を受けるメリットは?
介護士が同制度の認定を受けるメリットを以下に紹介します。
- ●能力を公平に評価される。
- ●自身のスキル(できること・できないこと)を認識することができ、モチベーションやスキルアップに繋げられる。
- ●給料や能力などの重要な判断材料になる(処遇改善に繋がる)。
- ●介護スキルを対外的に示すことができる(復職や転職の際のアピールポイントにもなる)。
誰が評価をするのか?
知識の評価は、国家資格の取得や研修などの講義(課程)を修了することでレベル認定されます。実践スキルの評価は、施設や事業所内の「アセッサー」と呼ばれる人が評価をします(内部評価)。
- 〇わかる(知識)の評価
- ●レベル4 介護福祉士であること。
●レベル3 介護福祉士養成課程または実務者研修修了(介護職基礎研修修了でも可)。
●レベル2 レベル1と同様。
●レベル1 介護職員初任者研修修了(ホームヘルパー2級研修または1級研修修了も含む)。
- 〇できる(実践的スキル)の評価
- ●基本介護技術の評価(入浴・食事・排泄介助、移乗・移動・体位変換・状況の変化に応じた対応)。
●利用者視点での評価(感染症対策・衛生管理・事故発生防止・身体拘束廃止・終末期ケア・利用者や家族とのコミュニケーション)。
●地域包括ケアシステム&リーダーシップ。
施設(事業所)にとってのメリットは?
同制度の導入は任意ですが、導入によるメリットを以下に紹介します。
- ●OJTを通じて介護士の能力を向上させることができる。(OJTとは上司や先輩が新人や未経験者に対して実務を体験させながら知識や技術を身に付けさせる教育法)
- ●施設(事業所)のサービス水準をアピールできる。
- ●客観的な能力評価が行いやすくなる。
- ●優秀な人材確保や人材の定着に繋げられる。
- ■まとめ
- 同制度の活用で施設(事業所)による評価の違いや、介護士の能力・知識のバラつきなどの問題が解消されることが期待されます。お互いにとってより良い環境づくりが進めば、人手不足による介護サービスの低下や離職率の上昇を抑えることに繋がるのではないでしょうか。