No.134 介護士のパワハラ問題
介護現場も教育や指導といった範囲を大きく逸脱して、敵意や悪意、人格否定をするなどのパワーハラスメントが報告されています。直属の上司や施設長などからのパワハラだけでなく、利用者やその家族からもパワハラを受けている現状もあるようです。
パワーハラスメントとは
指導的立場にある人や権力地位などのある人が、立場や権力を利用して嫌がらせをすることです。加害者や被害者になる可能性があり、適切に指導しているつもりでも相手の解釈によっては、何気ない行為もパワハラになってしまいます。このように受けて側の解釈が大きいため、基準としては曖昧なことがありますので気を付けなければいけません。
パワハラする人に注意することで逆ギレされる可能性があり、そうなれば一層の攻撃対象になってしまいます。1人で対処しようとしないで職場などに相談して対応するようにしましょう。
【パワハラの定義】
厚生労働省は、次の行為を職場におけるパワハラと定義しています。
- 1.優越的な関係に基づいてパワハラ行為が行われること
- 2.業務範囲を超えて指導的行為が行われること
- 3.身体的若しくは精神的な苦痛を与えること、又は就業環境を害すること
【パワハラの分類】
厚生労働省は、次の行為を職場におけるパワハラと定義しています。
- 1.身体的な攻撃(暴行・傷害)
- 2.精神的な攻撃(脅迫・暴言等)
- 3.人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
- 4.過大な要求
- 5.過小な要求
- 6.個の侵害
介護現場のハラスメント事情と被害事例
介護職は非常にストレスの溜まる仕事で、ついつい周りの同僚たちにきつく当たる人もいて、劣っている相手を言葉の暴力で意図的にいじめる事例も見られます。それによって、介護現場での人間関係や雰囲気は悪くなり暗くなってしまいます。
指導的立場にある人が厳しい態度で周りに接してしまうと、職場は居づらい場所になってしまいますので、意識して接するように心がける必要があります。
介護ハラスメントが起こる背景に、問題意識が低いことや男性利用者の男尊女卑があると考えられます。
- ○介助中に胸やお尻を触られる
- ○学歴が低いことをバカにされる
- ○思い通りに動かないと殴ったり蹴ったりする 等
介護ハラスメントへの予防と対処法
パワーハラスメントと別のハラスメントの抜け出すための方法を次にいくつかあげます。
- ○セクシャルハラスメント
- 相手方の意に反する性的言動によって、不快感や苦痛を与える行為です。介護現場のハラスメントは、利用者に優しい言葉で注意して対策を同僚や上司に相談や報告します。
【予防と対処】
- ○物的な証拠を残す
- 最低限できることは「証拠を残す」ことで、実際のパワハラやセクハラ現場の録音に気づいてしまうリスクがある場合は、その内容をメモにして「相手・日時・場所・内容」などを詳細に明文化しておくと裁判になった時に役立ちます。証拠を持っておくことで、相手に対して心理的な余裕が生まれます。
- ○他の被害者を探す
- 職場内に別の被害者がいるかもしれません。パワハラする人は、攻撃的な態度を取る傾向にありますので、他にも被害者がいる可能性があります。仲間と情報交換できれば精神的にも心強く、有利な証言人が味方につければ効果的です。
- ○厚生労働省などの公的機関に相談する
- 厚生労働省が主管している総合労働相談コーナー、全国労働基準監督署など公的機関なので無料で、状況によっては強権的に環境を改善することがあります。
- ○介護ハラスメントは我慢しない
- 相手が利用者やその家族である場合に気をつかって我慢して表面化せずにいると、継続的に被害を受ける可能性があるため、我慢せずに意思をはっきり伝え、相談することが大切です。
- ○日頃のコミュニケーションやケアの見直し
- 職員の対応が関係している場合があり、利用者ができると言ったことに対して「出来ない」や「分からないでしょう?」の否定と軽視した接し方をすると、利用者を怒らせてしまいますので、日頃からコミュニケーションやケア内容を見直して、お互いに良い関係性を保つことです。
- ■まとめ
- パワハラやセクハラは法的にも罰せられる禁止されるべきハラスメントです。「しない、させない」が原則です。介護現場では、全くゼロにすることは難しいかもしれませんが、我慢をして相談せずに1人で抱え込んでしまわずに適切な対処が大切です。