No.122 介護士のたん吸引には喀痰吸引等研修修了が必要
喀痰(たん)吸引は、医療行為で本来医師や指示を受けた看護師にしか行えません。喀痰吸引は、身体に重大な影響を及ぼす事がありきちんとした知識や技術、経験を積んだ人にしか出来ない為です。しかし、近年は法律により一定の研修を修得修了した介護職員も行う事が認められています。
喀痰吸引等制度
喀痰吸引はこれまで法律上の医療行為とされ例外を除き医師と医師の指示の下で看護師、准看護師だけが行えましたが、平成24年の社会福祉士及び介護福祉士法の改正により一定の研修を受けた介護職員等が法的に定められた教育及び条件の下で、たんの吸引と経管栄養ができるようになりました。
必要な条件と認証
〇実務者研修と喀痰吸引等研修修了者
喀痰吸引などを実施するには次の事を満たしている必要があります。
- 実務者研修や喀痰吸引等研修を修了後の介護職員である事
- 研修後に認定証交付を受けている者
- 医療行為を実施する施設や事業所が喀痰吸引等事業者の受入登録をしている事
喀痰吸引等研修
喀痰吸引等研修は法改正により介護職員でも研修を修了したら喀痰吸引と経管栄養を実施できる新しく制定された資格です。
〇喀痰吸引等研修で取得できる行為
実務者研修や喀痰吸引等研修の修了後にできる医療行為は下記の通りです。
- 【喀痰吸引】
- ・口腔内喀痰吸引
- ・鼻腔内喀痰吸引
- ・気管カニューレ内部喀痰吸引
- 口腔内と鼻腔内喀痰吸引については、咽頭の手前までが許容限度になります。
- 【経管栄養】
- ・経鼻経管栄養
- ・胃ろう経管栄養
- ・腸ろう経管栄養
- 【不特定多数の人】
- ・鼻腔内のたん吸引
- ・気管カニューレ内部のたん吸引
- ・口腔内のたんの吸引
- ・経鼻経管の経管栄養
- ・胃ろう又は腸ろうの経管栄養
- 【特定の人】
- ・筋ジストロフィー
- ・心身障害者、療養患者
- ・高位頚髄損傷
- ・遷延性意識障害
- ・筋萎縮性側索硬化症(ALS)又は神経、筋疾患
喀痰吸引等研修の種類
喀痰吸引等研修は第1号研修〜第3号研修があり選択する内容によって研修が変わります。
- 〇第1号研修
- 主にたん吸引と経管栄養の研修を行い研修修了後、不特定多数の人にたん吸引などを行う事ができます。
- 〇第2号研修
- 喀痰吸引等研修の中から選択して修了後に、医療行為を1号と同じく不特定多数の人に実施できます。
- 〇第3号研修
- 第3号研修は特定の人に対して必要な行為が実施できる研修です。主に訪問介護員や特別養護老人ホーム、特別支援学校教員、介護施設などで働く者を受講対象にしていますが医療行為をする場合は第3号研修の修了が必要です。
- ■まとめ
- 医療ケアが必要な利用者は施設・在宅を問わず増え、それに対応できる人材は少なく、これからはたん吸引や経管栄養といった医療ケアもできる介護職員としてのスキルは場所を選ばず求められています。喀痰吸引研修は就職の際にも有利になりますので研修受講検討をしてみてはいかがでしょうか。