No.7 介護保険制度と介護の歴史
2000年に介護保険法が施行されて18年が経過しましたが、3年に1度の改正でどのように変わったのでしょうか。今回は介護保険制度と、その背景にある歴史について解説していきましょう。
介護の歴史
- 昭和48年:老人医療費無料化、高額療養費、福祉元年
- 昭和53年:高齢者のショートステイ開始
- 昭和54年:高齢者のデイサービス開始
- 昭和57年:老人保健法
- 平成元年:ゴールドプラン
- 平成06年:新ゴールドプラン
- 平成11年:ゴールドプラン21 5か年計画
- 平成12年:介護保険法施行
介護保険制度ができるまでの背景
2000年の介護保険制度ができるまでは、様々な問題を抱えていました。「老人福祉制度」は「措置制度」と呼ばれて、介護サービスの決定は行政が行っていました。その判断は低所得者向けで、それ以外で介護サービスが必要ないと判定された場合は、在宅での介護を余儀なくされました。
社会的入院の問題化
社会的入院とは、1980年代に問題化したもので、高齢者などが病院に入院していて入院治療の必要がなくなったにも関わらず、家庭に介護者がいない、一人暮らし、老老介護などが原因で自宅に戻れない入院をいいます。
介護保険制度の誕生
「介護保険法」は、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態になった場合、その有する能力に応じ日常生活を営むことができるよう、必要な福祉サービス等の給付を行うため、社会全体で支えあう仕組みの保険のことをいいます。
これにより今まで、サービスを行政が決めていた「措置制度」から「契約制度」となり、サービスを自分で選択することできるようになりました。
ただし、このような介護保険制度ができた一番の理由は、年々増加していく社会保障費の増加が国の財政に及ぼす影響がひっ迫してきたことや、近い将来確実にやってくる「超高齢化社会」に備えての制度だと思います。
介護保険制度のこれまでの主な改正
- 認定区分の変更
- 予防給付の創設
- 地域包括支援センターの創設
- 介護施設の食費・居住費の全額自己負担
- 地域密着型サービスの創設
- 介護サービス情報の公表
- 「痴呆」から「認知症」への用語の変更
- 介護事業者の一般・民間企業参入の緩和
- 一定以上の所得者に対して自己負担2割へ引上げ
- 特別養護老人ホームの入所を要介護3以上に変更
- 一定以上の所得者に対して自己負担3割へ引上げ
- 福祉用具貸与価格の見直し
- 「介護医療院」の創設
- 「共生型サービス」実施
- ■まとめ
-
介護保険制度とそれ以前の歴史について解説してきましたが、制度施行後、7回の改正でもこれだけ変わっていることが、お分かりになったことでしょう。
介護保険制度の歴史は、施設から在宅復帰・国から時治体へと権限移譲してきています。2025年問題は、もう目の前に迫ってきていて迅速な対応が求められています。今後も介護保険制度がどのような改正を行うのか、よく注視していきたいものです。